紙おむつ市場に目を転じると、P&Gが断トツに強く、それを1995年から中国市場に参入したユニチャームが追撃してきました。最近は花王も好調で、「メリーズ」が中国人によって香港で買い占められ、日本のドラッグストアでも品薄になったと報じられました。花王は2013年1月から現地生産により中国専用の新製品を販売していますが、富裕層は日本製の輸入品を好んで購入したがります。偽物も横行しているようですが、純正品への需要が急増中です。
教育関連サービスでは、日本で絶大な人気を誇るベネッセの幼児向け教材「こどもちゃれんじ」が、2006年に中国にライセンス形式で進出し、順調に会員数を増やしています。その秘密は徹底した現地化。「こどもちゃれんじ」は「楽智小天地(ラージーシャオティエンディー)」に、人気キャラクターの「しまじろう」は「巧虎(チャオフー)」へと名前を変え、教材の内容も中国の文化や価値観に合わせて現地化しています。
公文もまた、日本のテレビCMでも訴求しているように、世界48の国と地域に進出、生徒数は434万人です。中国でも、香港、上海、広州、北京に拠点を持っており、じわじわと浸透中。中国の母親たちは公文式が日本の教育サービスであることはもちろん知ったうえで、子供を通わせています。たとえば、上海へは1995年に進出して、現在70の教室で約7000人の生徒が学習しています。広州エリアからの情報では、授業は1回30分、週2回で月謝は400元だそうです。
今年の冬、北京エリアでは連日のようにPM2.5の数値が400~500を記録しました。ある日系企業が入るオフィスビルで室内のPM2.5を測定したところ300だった、という笑えない話も聞きました。2013年度、空気清浄器の販売数は前年比2倍以上の240万台。Global Timesの3月15~16日版には、今年の販売台数は1950万台の見込み、と書いてあります。特に乳幼児のいる家庭では、パナソニック、シャープ、ダイキン、三菱電機など、ニッポンブランドの高級機の需要が高まると思われます。ちなみに、シェア1位はフィリップスで、美的(メイディー)をはじめとする中国ブランドは、主に1000元以下の普及品で勝負しています。
ベビーブームはホントにやってくるのか?
しかし、そもそも「2人っ子政策」はもくろみどおりの効果を上げるのでしょうか?
子ども数の減少要因は、1990年代までは政策による産児制限だったでしょう。しかし、今世紀に入って、少なくとも都市部においては、高学歴化やライフスタイルの近代化に伴って、若い夫婦の家族観が変わってきたことの結果、と見るのが妥当だと思います。高度経済成長期を迎えて、中国では女性の就業率や社会的地位が高くなっており、仕事と子育ての両立が以前より難しくなっています。また、家賃や教育費の高騰など、経済的理由で第2子をあきらめる人も増えています。だとすれば、たとえ規制が緩和されても人口増加には結び付きそうにありません。日本、シンガポール、韓国の例を出すまでもないことです。
少子化が都市化と不可分な現象だとすれば、都市部において反・都市化政策をとること自体が矛盾でしょう。日本企業は、報道に惑わされることなく、乳幼児マーケットの市場予測を冷静に行ったうえで、販売数量の拡大よりもプレミアムイメージと収益性の向上を優先すべきだと思います。
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