中国のベビーブームは日本企業のチャンスか

ついに「1人っ子政策」と決別する中国

期待が過熱する「乳幼児向け製品」マーケット

China Daily Asia Weeklyの1月10~16日版掲載のデータによれば、新生児の数は2011年1607万人、2012年1638万人、2013年推計1660万人、新政策の効果が出始める2014年の推計が1750万人、2015年推計1820万人となっています。直近の年間約1600万人をベースとすれば、1人っ子政策の緩和によって増加する新生児は200万人と期待されているわけです。

同データによると、ベビーブームに伴って、粉ミルクの販売高は2012年の488億元から2015年には800億元へと、紙おむつ市場は2012年の201億元から2015年には260億元に拡大すると見込まれています。また、病院の産婦人科や小児科、医薬品、玩具、子供服、幼稚園、教育関連サービスなどの分野で、需要が急増すると予想されています。

日本企業のチャンスとチャレンジ

昨年10月、粉ミルクで日本国内第3位の和光堂が、中国の康師傅(カンシーフ)と合弁で中国市場に本格進出すると報道されました。和光堂はこれまで大連市の輸入代理店を通して販売していましたが、世界一の即席麵メーカーにして中国第2位の飲料メーカーである食品・飲料の巨大企業、康師傅と手を組むことにしたのです。出資比率は和光堂55%、康師傅45%で、将来はベビーフードへの拡大も視野に入れているとされます。

康師傅は台湾の企業で、中国大陸市場には1992年に進出し、インスタントヌードルの「紅焼牛肉麵(ホンシャオニウロウミェン)」の大ヒットで一気に即席麵のトップブランドに成り上がりました。この会社の事業戦略の特徴は、日本企業のリソースをうまく活用することです。これまでに、即席麵ではサンヨー食品、清涼飲料ではアサヒ飲料、スナックでは亀田製菓やカルビー、それ以外ではカゴメ、日本製粉、伊藤忠など、日本の優良企業から資本と技術の提供を受けて急成長してきました。消費者向け製品以外にも、ファストフードレストランやコンビニエンスストアも傘下に持ち、事業ポートフォリオの多角化を進めています。

康師傅とのJVによって、和光堂は中国全土津々浦々に広がる康師傅の販売ネットワークやスーパーなどの店頭支配力を手に入れることになりますが、一方で、商品開発・原料調達・製造などの自社ノウハウをどこまで共有するのかが注目されます。

日本の粉ミルクメーカーへの追い風となるのが、中国で販売されている粉ミルク製品の品質に対する不信感です。中国には120もの国産粉ミルクメーカーがあるそうですが、2008年、ある有力ブランドがメラミンの混入事件を起こし、その際、乳児に死亡者が出たことから完全に信用を失いました。母親たちは海外製品に救いを求め、その結果、ニュージーランドの原料を使用した製品が普及しましたが、こちらも2013年8月に、大手のフォンテラ社の製品の一部からボツリヌス菌が検出され、輸入禁止の処分を受けてしまったのです。困った母親たちは、香港や日本でまとめ買いをするようになりました。さらに、ニュージーランド、イギリス、ドイツでも大量購入したため、これらの国では中国人への販売制限をかける騒ぎとなりました。

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