高額年俸となりがちなFA選手や外国人の獲得に頼るのではなく、若い選手を丁寧に育成して、年俸を抑制しながらチーム力を強化する。これも言ってみれば、まったくけれん味のない、地道な戦略なのだが、マリーンズはその方向に、完全にかじを切ったように見える。
また高校卒は、大学・社会人経由に比べて、モノになったときのスケールが大きい。先のダルビッシュ有、大谷翔平に加えて、田中将大、松坂大輔、松井秀喜、イチローという、メジャーでも活躍した(している)「超・日本級プレーヤー」はみんな高校卒なのである。
投手陣に目を移しても、二木康太(鹿児島情報高、24歳)、種市篤暉(八戸工大第一高、21歳)、岩下大輝(星稜高、23歳)など、活きのいい高校卒の若者が揃い始めている。
そして今季、この若者たちに、あの佐々木朗希が加わるのだ。すでにチームの要となっている捕手=田村龍弘(光星学院高、25歳)と彼らとの活きのいいバッテリーが、今季のマリーンズを盛り上げていくのではないか。
以上、地道な経営改革を断行しながら、超・高校級プレーヤーを中心したスケールの大きな野球を志向する、マリーンズの大きな変化を分かっていただけただろうか。
平安藤原時代の監督に必要なこと
一部のマリーンズ・ファンは「平安藤原時代」という言い方をする。
「平」沢大河、「安」田尚憲、「藤原」恭大という、ここ数年の高校卒ドラフト1位が揃って活躍するさまを期待した表現である。
一塁:井上晴哉、二塁:中村奨吾、三塁:レアード、遊撃:藤岡裕大、左翼:角中勝也、中堅:荻野貴司、右翼:マーティン――投手、捕手、DH以外の今季スターティングメンバーを穏当に考えてみると、日本人の高校卒選手は不在となる(角中を独立リーグ出身とカウント)。そのうえ、井上、レアード、角中、荻野、マーティンは30歳代である。
目の前の勝利だけにこだわらず、平沢大河、安田尚憲、藤原恭大を抜擢すること、抜擢し続けること。そんな長期的視野に立った采配が、井口資仁監督には期待される。経営戦略と商品戦略は連動してこそ意味があるのだ。
「泣くよ(794年)ウグイス平安京」から「いい国(1192年)作ろう鎌倉幕府」まで、実際の平安(藤原)時代は、江戸徳川時代を超える約400年の長きにわたった。摂政ならぬ監督に必要なのは、長期的視野に立った抜擢と考える。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら