WOWOW「14期連続」会員数増加に黄信号 動画配信サービスの急激な台頭で強まる逆風

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だが、「CASカードなしでの加入」が大幅な加入件数の増加につながるとは考えにくい。CASカードは地上波テレビを視聴できる世帯であれば、ほぼすべての人が持っているからだ。番号入力という手間を惜しまなければ、現状でもWOWOWのコンテンツをネットで視聴できる。入り口(加入)の整備という意味では動画配信事業者と肩を並べたにすぎない。しかも、この対応は「(2020年の)12月をメドに行う」(田中社長)。Netflixが1年で100万人以上の会員を獲得したことを考えれば、それまでにほかの施策も求められる。

動画配信事業者に対抗するには、魅力的なコンテンツ提供も欠かせない。2019年4月~12月は番組費が前期比で12億円減少し、営業利益は前期比約15%増の77億円となった。「コストをしっかりコントロールした。投資する部分としっかり抑制する部分、両方をグリップ(管理)していく」(田中社長)としているが、今後、一定の利益を確保しながら、オリジナルコンテンツ強化にどれだけ投資するかが、より重要になってくる。

Netflixの制作予算は1.6兆円

世界展開するNetflixは2019年で最大1兆6000億円もの制作予算を持つ。こうした潤沢な資金で作られたコンテンツは、アカデミー賞などにもノミネートされている。そのほとんどが字幕や吹き替えで日本のユーザーも視聴できる。さらに価格面での差も大きい、WOWOWが月額2300円なのに対して、Netflixのベーシックプラン(1台の端末で視聴が可能)は月額800円と1000円以上の差がある。

決算説明会で田中社長は、「WOWOWに弱みがあるとは考えていない。むしろ放送と配信の両方があるので、(ネット配信しかない事業者と比べ)間違いなく強みになる」と語った。だが、オリジナルコンテンツ強化や新ジャンル開発の詳細はまだ示していない。放送と配信の両方を生かした強みをどう生かすのか。課題は山積している。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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