利権化する「エコ」 潤う環境予算のウラに深い闇

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 しかし10億円も使いながら、府内にある約2000店舗のGSのうち、E3を販売するGSは13店。府外を合わせても計19店にすぎない。昨年度E3の販売量は4217キロリットル。それに含まれるエタノールは126キロリットルにしかならず、年間1400キロリットルの製造能力の9%だ。

周辺自治体や企業が保有する車を登録、利用することを取り決めているが、市内に製造施設とE3販売のGSが3店ある堺市は、131台の公有車を登録しながら、9月の消費量は551リットル。1台当たりなら4・2リットル。市の調達課は「E3を扱うGSが遠くて不便なので」と釈明する。

大阪府の梅田一也・地球環境課長補佐は「今年度はGSが増え、7月は1300キロリットル販売した」と胸を張るが、年間の稼働率は3割程度しか見込めない。今後、GSが大幅に増える見込みはないというから、超低空飛行で実験は終わりそうだ。

製造するバイオ社はこれでペイするのか。実は受け入れた原料の廃木材の大半は、産廃として焼却・発電に利用し、経営を成り立たせている。バイオ社の関係者は「バイオ燃料の製造コストは高く、産廃として木くずの処理費をもらわないと、とてもやれない」と明かす。産廃処理施設の建設費を環境省が出したも同然だ。

大阪府だけではない。沖縄県宮古島では、内閣府、環境省、農水省など1府5省が連携し、サトウキビからバイオエタノールを製造、島内19のGSすべてで販売する普及事業を07~11年度の予定で行うが、現在E3を販売するGSは4店。これに約30億円がつぎ込まれた。

環境省地球温暖化対策課の草川祐介課長補佐は「大阪では販売実績も右肩上がり。GSも今年中に1カ所増え順調」と言うが、実態は貧弱だ。

なぜ、こうなったのか。

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