利権化する「エコ」 潤う環境予算のウラに深い闇

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 環境省が地域の温暖化防止の取り組みを応援する07年度から始まった「一村一品・知恵の環づくり」。全国地球温暖化防止活動推進センターを通じ、都道府県の地球温暖化防止活動推進センターに委託する。総予算3億円。08年度は45団体に550万円ずつ2億4750万円、残りは全国センターなどに交付された。

温暖化防止センターは、22がNPO、19が財団法人、4が社団法人、全国センターは財団法人日本環境協会が指定団体だ。環境省幹部が天下りする環境協会や、県幹部が天下りしている財団法人などを除き、どこも乏しい財源に苦労する中に、「一村一品」が降ってわいた。

「一村一品」は、各センターが各地域での取り組みを掘り起こし、代表を決定。全国大会でプレゼンテーションし、表彰する仕組みだが、あるセンターの元幹部はこう明かす。「環境協会の担当者から『募集するために、地元のテレビや新聞で広告を打ってほしい』と言われた。強制ではないというが、税金をこんなことに使っていいのか」。岐阜県のセンターの文書には、メディア広告費や県大会告知として99万7750円が計上されている。環境省地球温暖化対策課の三橋英夫課長補佐は「チラシで募集しても参加が殺到するわけではない。地方紙に広告を出せば記事にも取り上げてくれる」。

07年度は1074団体、08年度は1130団体が応募する盛況ぶり。もちろん地域のNPOなど日頃の取り組みを顕彰するのは悪くないが、550万円は各都道府県の地方大会の開催費や人件費に消え、肝心の活動団体には渡らない。「地域の団体が自信をつけ、活動が広がってほしい」(三橋補佐)という思いはよくわかるが、二段構えで開く会場費や広告、イベントに予算がそっくり消えてしまうのはどうか。

3Rって、つまりは宣伝活動だけ?

ごみをめぐって、環境省はリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)を合わせた「3R」に取り組む。環境省は「国民運動」が好きだ。「容易包装に係る3R推進事業」。08年度、5800万円で印刷会社が受注した事業計画に「3R促進の表彰、地域のモデル事業、簡易包装を積極的に選択する国民運動」とある。

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