モチベーションをできない言い訳にする人の愚 令和では、もはや「死語」にもなりつつある

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ミレニアル世代や、さらにその下の世代は、デジタルネイティブで、物欲に乏しいという特徴がある。SNSによる情報発信や情報共有を活発に行い、社会問題への関心が高い。現在の30~40代と比べ、10~20代は、あまり「自分視点」で物事を考えない。「自分視点」より「他者視点」を持っているからだ。

若者たちは、自分がどうしたいかではなく、所属するチームがどうしたいのか、今の社会はなにを求めているのかを意識している。「君はなにをやりたいのか?」と質問する上司に対し、「部長はどうしたいのですか?」と聞きたい世代なのだ。部長や社長が目指したい先(ゴール)があり、それに共感するならついていく。

令和は「エンゲージメント」の時代

自分は何をやりたいのかと自問自答を繰り返し、迷い続けた平成の時代は終わった。令和の時代になって「モチベーション」は、別の言葉に取って代わられた印象がある。その言葉とは、「エンゲージメント」だ。この言葉には、絆や愛着心という意味がある。

昨年のラグビーワールドカップ(W杯)が、最高にわかりやすい例だ。自分のためではなく、どんなに傷ついても立ち上がり、仲間のために汗をかくラガーたち。私たちは、彼らが目指すゴールに強く共感した。声を張り上げて応援した。私たちが関心を向けたのは、自分がなにをしたいかではなく、彼らがなにをしたいのか、であったのだ。2019年の流行語大賞が、見事に「ONE TEAM(ワンチーム)」になったのは、当然だろう。

これからの企業は、社会視点のゴールを明確に決めるべきだ。そして、そのゴール実現を一緒に目指してくれる仲間(人手などと表現しないほうがいい)を採用し、共に進むべきだ。

たとえ傷ついても、前に進むのだ。そうすれば組織エンゲージメントは、確実に高まるだろう。令和の時代に、まだ「モチベーション」などと口にし、自分の内側に「動機づけ」を探している人の末路は、もうわかるはずだ。もっと視座を高め、目線を社会に向けるべき時代がやってきた。

横山 信弘 経営コラムニスト

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よこやま のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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