Netflix「嵐」がテレビの限界を象徴する理由 「世界から見た日本」を意識した作品作り

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それはなぜかというと、ファンを満足させるだけの作品であればNetflixオリジナルとして配信する意味は薄れてしまうからです。アイドルグループのドキュメンタリー作品はファン向けのサービス映像として作られるのが常ですが、今回の場合はファンと非ファンとの境界線を越える作品を目指しているからこそのNetflixオリジナルでしょう。

それは「なぜ、嵐×Netflix」の理由の1つでもあります。

「世界から見た日本」を意識した作品づくり

「嵐×Netflix」の理由には、海外を意識したことも大きいはず。「嵐」の活動を見ると、それを裏付けることができます。結成20周年を迎えた2019年11月にはジャニーズ初の5大SNS解禁や、シングル曲の全世界デジタル配信の決定などが発表され、また2日間でアジア4都市を回ったキャンペーン「JET STORM」も実施されました。

そして、Netflixは現在のところ、世界の最も多い地域でサービス展開され、作品を最速で配信できるプラットフォームです。手っ取り早く世界に発信できます。

実際に『ARASHI’s Diary -Voyage-』は英語、フランス語、ドイツ語はもちろん、ヘブライ語、アラビア語など28カ国語の字幕付きで全世界190カ国に配信されています。ツイッター上のコメントもアジア圏をはじめ、アメリカ、イギリス、スペインなど幅広い地域から反応を得ています。

公式リリースで発表している嵐・松本潤のコメントには「Netflixと組むことで世界190カ国、28の言語の字幕付きの配信が実現しました。 今まで僕らを知らなかった方にも、『日本にはこんなエンターテインメントがあったんだ』と 興味を持ってもらい、日本の文化や人間性に触れてもらうきっかけになったらうれしいです」とあります。

またNetflixコンテンツ・アクイジション部門の坂本和隆ディレクターは「日本を代表するアーティストである嵐。彼らを応援する国内外のファンへの思い、また誰も見たことのない一面までもを映し出したドキュメンタリーシリーズとして、 Netflixメンバーへお届けできることを大変うれしく思います」とコメントしています。

いずれも世界から見た「日本」を意識したもの。世界のコンテンツ市場でニーズにある「日本」というトレンドワードに応える作品であることを強調しています。

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