選挙ポスター公費負担「100万円超」への大疑問 東京選出の9衆院議員、上限支払いは妥当か

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公費負担の対象となる選挙ポスターは掲示板数の2倍まで刷れるがその単価と枚数ははたして適正なのか(写真:Diziano/PIXTA)
選挙に立候補した者のポスター代金を公金で賄う制度がある。この「公費負担」制度をめぐって近年、地方選挙で「水増し請求ではないか」「県に公費負担させたポスター代は過大だった」などとして、住民監査請求が次々と起きている。
では、国政選挙ではどうか。東京都から選出されている衆議院議員の37人(小選挙区と比例復活)について調べたところ、9人が定められた上限の満額を、5人が限度額の99%以上を請求していた。それ自体には何の問題もないものの、一方では、請求額が上限の半分に満たない議員も12人を数える。この差は何か、なぜ生じるのか。取材を進めると、「実勢価格を反映していない高すぎる上限」という制度設計の問題、そして公費負担制度を思う存分に使う政治家の姿勢が見えてきた。

ポスターの枚数 選管は現物チェックせず

公職選挙法は資金が少ない人でも立候補できるよう、ポスターやビラ、看板などの費用を公費で負担するよう定めている。ポスター代の公費負担は国政選挙から始まり、1992年の公選法改正によって地方選挙に拡大された。その上限額は、国政選挙の場合、特定の式によって選挙区ごとにポスター1枚当たりの上限単価を計算、その単価に各選挙区内の公設掲示板数の2倍を乗じて出された総額が上限になる。地方選挙の場合も一部を除いて、上限は国政選挙の計算式を採用している。

公費の請求は以下の流れになる。

まず、候補者は印刷業者との間で代金を明示した請負契約を交わす。その契約書や実際にポスターを作ったことを示す証明書などを印刷業者が各地の選挙管理委員会に提出。選挙後に代金を選管に請求し、選管から支払いを受ける。この手続きでは、選管側は届け出のあった枚数が実際に印刷されたのかどうかといった現物チェックをしておらず、印刷業者は候補者と交わした「枚数確認書」を提出するだけで支払いを受ける。

「フロントラインプレス」の調査は、2017年10月の総選挙で当選した東京都選出の衆院議員37人を対象とした。東京都の公報では公表されていない「選挙運動費用収支報告書」に関連する詳細資料、各候補者による公費負担の書類などを情報公開請求によって収集し、分析した。東京の小選挙区25区のポスター代上限額は、都選管発行の「選挙の記録」などで確認した。

その結果、業者と契約したポスター代金が上限額の100%だった議員は9人で、それぞれの内容は次ページ表のとおりだ。総額は25万~110万円程度、1枚当たりは257~1290円と議員によってかなりバラツキがある。

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