選挙ポスター公費負担「100万円超」への大疑問

東京選出の9衆院議員、上限支払いは妥当か

党派別では、自民党が石原宏高氏(3区)、菅原一秀氏(9区)、文部科学相の萩生田光一氏(24区)ら7人。立憲民主党は海江田万里氏(1区)。無所属は初鹿明博氏(16区に出馬・比例復活=当選時は立憲民主党、2019年12月に離党)。これら9人が印刷した選挙ポスター1枚当たりの単価は836~1290円で、全員が上限に当たる公設掲示板の2倍の数を印刷したと記されている。

「実勢価格以上の公費請求だ」多発する住民監査請求

これまで各地の地方選挙では、ポスター代の上限額を請求した議員を対象に「水増し請求ではないか」などとする住民監査請求が繰り返し行われている。福岡市長選(請求日=2015年11月)、埼玉県議会選挙(2016年5月)、衆院議員選挙の富山県選挙区(2018年3月)、大阪府岸和田市議会議員選挙(2018年10月)など枚挙にいとまがない。「選挙ポスター」「住民監査請求」のワードでネット検索するだけで次々と実例が表示され、その多さに驚くかもしれない。

住民監査請求の多くは「上限の単価が高すぎ、公費負担として認めた掲示板の数の2倍という印刷枚数も多すぎる」という趣旨だ。請求理由には「単価が実勢の値段を反映していない」という内容も目立つ。

それだけではない。

2007年には岐阜県内の市議選や岐阜県議選に際し、詐欺まがいの「水増し請求」も発覚している。県議や市議は記者会見で謝罪し、水増し請求分の返還を申し出る事態に追い込まれた。「水増し請求」とは、どんな内容だったのか。当時の新聞報道や関係する議会議事録によると、手法自体は単純だ。

① 実際のポスター代は届け出た金額よりも安かったのに満額を請求した

② その差額を用いて使業者に公費負担の対象外の名刺や封筒、パンフレットなどを印刷させた

③ 一部議員は水増し分の中から「キックバック」として印刷業者から政治献金を受けていた

住民監査請求が相次ぐ事情について、全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士(愛知県)はこう指摘する。

「背景にあるのは“水増し疑惑”です。候補者と業者が共謀し、水増し分を業者がプールしてそのお金を別の目的のために使った事例がすでに明らかになっている。おそらく、地方で起きたことは国政選挙でも起きていると思います」

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