選挙ポスター公費負担「100万円超」への大疑問 東京選出の9衆院議員、上限支払いは妥当か

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フロントラインプレスが調査対象とした東京選出の衆院議員37人の中には、ポスター代の請求額が上限の50%に満たなかった者も12人いた。党派別では、自民党7人、立憲民主党3人、公明党と日本共産党が1人ずつ。多くは届け出た印刷枚数も少なく、選挙区内の掲示板数の2倍未満だ。

1枚当たりの単価に着目すると、この12人は1枚当たり「257~775円」の幅に収まっている。突出して請求額が低い議員もいる。上限の23.4%しか請求していない長妻昭氏(7区・立憲民主党)、22.4%の鴨下一郎氏(13区・自民)、23.1%の平沢勝栄氏(17区・自民)の3人だ。

この2017年の総選挙では、東京の各選挙区におけるポスター代の公費負担は、おおむね110万円前後が上限だった。その中で長妻、鴨下、平沢の3氏はそれぞれ25万~26万円の請求である。平沢氏の事務所に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「規定では掲示板の2倍まで印刷できるようになっていますが、うちは実際に使用する枚数に近い数を印刷するようにしています。そのほか、ポスターやビラの写真は同じものを使うとか、工夫もする。長年取引のある下町の業者さんに頼んでいることも安く済む一因かもしれません。過大な発注もしないよう気をつけています」

印刷会社社長「どうやったらそんなに高い金額に」

上限額の20%台で印刷を請け負った都内の会社社長は「個別の取引について話せない」としたうえで、こう語った。

「あの金額でも十分、利益は出る。普通の相場だと思います。紙質やデザイン、インクも見劣りしないはずです。うちの4倍以上の金額で請け負っている業者さんがいる? いいですねえ。そんな商売やっていたら蔵が建ちますね。業者と議員さんがどんな話し合いをして、そんな金額になったかは存じませんが」

前出の新海弁護士は「ポスター1枚当たりの単価が議員の間で大きく違っている。これはおかしい」と言い、こう続けた。

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