選挙ポスター公費負担「100万円超」への大疑問 東京選出の9衆院議員、上限支払いは妥当か

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「単価こそが問題なのです。東京選出の衆院議員の場合、250円程度から1200円以上まで5倍近い開きがある。価格差が5倍もあれば、通常の市場ではないし、取引は成り立ちません。岐阜県では、水増し分をプールしたうえで別の用途で使い回していました。単価を実勢価格に近いものにしないと、ポスター代に関する水増し請求疑惑は地方選挙でも国政選挙でも続くでしょう」 

衆院議員側の回答「適正に処理しています」

フロントラインプレスは、今回の調査で満額請求した東京の衆院議員9人に「ポスター代の公費負担が上限額に達した理由」を尋ねた。事務所から戻ってきた回答を見ると、「公選法に従い、適正に処理しています」といった“紋切り型”が7人。自らが当事者にもかかわらず、「印刷業者に確認してください」としてひとごとのように答えた議員も1人。「ポスターに特殊加工しているため、単価が高くなった」と具体的な理由を示したのは1人だけである。

日本の公営選挙制度に詳しい日本大学法学部の安野修右・助教はこう言う。

日本大学法学部の安野修右・助教(撮影:穐吉洋子)

「当選した議員の中でさえ、請求額に4倍以上もの差が出るということは、つまり、公費負担制度を悪用し、『税金だから多くもらわなければ損だ』とばかりに動いていると疑われてもやむをえないでしょう。市場原理が働けば、価格は低いほうに収斂されます。ポスター1枚が1200円以上とか、誰もが怪しむ。上限の50%未満が実勢価格かもしれません」

「公選法自体の問題もあります。選管には“捜査”の権限がないから、ポスターの検品といったチェックができない。選管の職員から『不合理なこと、明らかに疑わしいことがあっても立ち入れない』『形式さえ整っていれば受け付けざるをえない』と聞かされたこともある。形式審査にならざるをえないから、候補者はチェックを逃れているんです」

取材:本間誠也、木野龍逸、穐吉洋子=いずれも「フロントラインプレス(Frontline Press)」

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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