“ハイテクニッポン”の最後の砦は今…無敵神話もついに崩壊!? 素材各社の模索

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 一つは、まず確固とした基盤技術を有している点だ。本業の汎用素材で培った合成、塗工、成膜、微細加工などの基盤技術を生かし、独自の材料を開発してハイテク分野へ多角化を図ってきた。トクヤマの多結晶シリコンも、塩水の電気分解から得られるカセイソーダから副生される塩素と水素の高度利用を探る過程で培われた。基盤技術あっての産物だ。

ほかにも、半導体の微細な回路配線を可能にするフォトレジスト(感光性樹脂)で世界首位のJSRは、合成ゴム国産化のため設立された旧国策会社。フォトレジストの研究が始まったのは69年で、既存の合成ゴム事業から得られた環化ポリブタジエンゴムが基となっている。

ベースとなる基盤技術の応用がハイテク分野で開花したのであり、それが「海外勢が新規参入を狙っても、一朝一夕ではマネできない」(清水氏)要因の一つとなっている。半導体向けシリコンウエハを研磨、平坦化する材料のCMPパッドで圧倒的なシェアを握り、今年4月に化学世界最大手の米ダウ・ケミカルに買収されたローム・アンド・ハースの渡邉憲也日本代表も、「基幹材料であるフォトレジストでは、JSRには追いつけない」と舌を巻く。

「顧客対応の粘り強さという点にも、日本が優れたハイテク素材を持ちえた要因がある」と話すのは、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の李秉�(ビョンウク)投資誘致チーム長。これが二つ目の理由だ。

たとえば、ナイロン原料が強みの宇部興産では、夢の繊維と呼ばれるチラノ繊維が出穂期を迎えている。チラノ繊維は次世代商用ジェットエンジンや飛翔体ノズル材などに使われる航空宇宙材料。2000度の高熱に耐え、冷却の必要性がなく、金属より軽い点が大きな特徴だ。

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