“ハイテクニッポン”の最後の砦は今…無敵神話もついに崩壊!? 素材各社の模索
基盤技術と顧客対応力で川下が廃れ、川上が残った
半導体、液晶という2大デバイスを制してきた日本のハイテク素材。特に材料のコストが7割ともいわれる液晶パネルに関しては、「日本抜きでは作れない、と言っても過言ではない」(清水誠・日本政策投資銀行産業調査部課長)という。川下と比較しても、これら川上業界は高い収益性を確保してきた実績がある。
川下のほうは、かつての栄光はすでに過去のものと化した。主に液晶が使われる薄型テレビでは、ソニーが韓国のサムスン電子の後塵を拝し、LG電子からも攻勢を受けている。半導体分野では、NECが1992年に米インテルに抜かれるまで7年間世界首位の座を占めていたが、その後は凋落の一途をたどっている。対照的に高い国際競争力を維持するハイテク素材は、日本の産業競争力の最終防衛ラインともいえる存在だ。
川下と川上が主従逆転した例もある。粘着テープメーカーの日東電工が偏光板事業に参入したのは75年。シャープが世界初の液晶パネル商品化を企画した際、同社の粘着剤技術が求められたのがきっかけだった。32インチの液晶テレビが市場に出回った02~03年から同社のシェアは急伸。「どこのパネルメーカーでも、テレビ用パネルの新製品を開発するときは必ず日東電工に相談しなければならなかった」(業界関係者)。
その強さは何によるものなのか。日本のハイテク素材メーカーには、二つの共通点がある。