挫折感からの復活 第二創業期としての筋トレの時代
杉元はこれらの経験を機に、2泊3日でメンターの経営する旅館に振り返りの旅に出たのだ。Sのことを思い出した。
「目的を持った人生を持たなきゃめだ。10年ごとに目標を設定するのだと」
杉元は考えた。次の10年の志は何かと。
「私の生きる目的は、世界中に感動を伝え続ける仕組みを創ることである」と決めたのだ。そして大切な決断を行う。それはあれほどこだわっていた成長を止めるということだ。そして杉元はこの勝負に勝つためにはしっかりと自らが学ばなければ成らないと強く感じ始めていた。
ここからが杉元である。杉元は自分が味わった悔しさを社員に味合わせないようにするため、最初に全社の教育システム・学ぶ文化を作ることに着手したのだ。
社内大学を作り、学ぶ楽しみを社内で醸成し、人材育成、理念浸透に力を注いだのだ。そして、自分が不在の時間が増えても意思決定が遅れない仕組み、杉元自身がしっかり学ぶことができる時間を確保する仕組みなどを創った。
当時、離職率が高くなったり、成長を追い求める中で信頼していたメンバーが退職していった。人がついてきていない、成長していない、理念が伝わっていないと感じたことも杉元に強い危機感、そして挫折感を与えていたのだ。
杉元は仕組みを整えた後、自らはグロービス経営大学院に入学し経営に関する学びを開始した。この時期のことを杉元は「筋トレ」の時代と呼ぶ。
伸びる勢いが十分にある時期に、成長を止め一大方向転換を行ったのだ。そして3年の筋トレの時代を終え、2011年以降飛躍的な成長をとげ2012年ついに売上高が100億円を超えたのである。
▼田久保の視点
何か壁にぶつかったときに、しっかり時間をとり、空間を変え「振り返る」ということは極めて大切。振り返りとは自分自身と向き合うことであり、非常につらいプロセスになることも多いと思う。しかし、そこから逃げていては次のステップは見えてこないのだ。
人が育ち、理念が浸透した状態で実現した100億円。当初の目標と比べると約5年間のずれはあったが、この状況は次への飛躍を強く期待させるものである。
実際、杉元は2011年以降は筋トレしながら成長もする時期を位置づけ、アジア展開など、次なるフェーズに向けて一歩を踏み出している。同社がさらなる成長の中で、真の「感動創出企業」となっていくのが本当に楽しみである。
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