突きつけられた現実
しかし、現実は、10年で売り上げ60億円。目標の三分の二だった。常にギャップを見いだしそこから次へのステップを踏む杉元は、自分に何が足りなかったか、真剣に自分で振り返った。
起業したい、経営したい、10年で100億円のビジネスを創りたいと目標は立て、実行はしてきたが、どうすればそれが本当に実現できるのか、方法論を考えてこなかった。学びもたりない。必要な人も足りないと痛感した。
さらに、100億円という数字以外に、会社を、社員をどこに向かわせたいのかも明確に言葉にできなかった。経営がうまくないと社員もお客も幸せにできないと思った。
同じ頃、自分の能力を思い知る出来事が起きる。当時、中国経済が伸び始めてたくさんの国策でホテルを創っていた。それを外資系が運営するという状況の中、日本流の宴会を展開するという交渉に臨んだのだ。
相手はハーバード・ビジネス・スクール卒業のビジネスパーソン。杉元は、あまりにも交渉する能力のレベルが違うことを感じた。彼らはビジョンを語り、交渉も3人でしっかり団結し、戦略的にやってきた。自分には何もなかった。杉元は考えた。この10年は、結局PDPといっても、杉元会社だったと。100億円の会社を作ることしか考えてこなかった。それではだめなのだと。
▼田久保の視点
リーダーの資質として最も大切なことの一つが謙虚であること。だめなことをだめと受け入れられる心の健康を常に維持しなければトップはつとまらない。
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