そんな多様化著しいカレージャンルの中から、2020年に注目すべきものを聞いた。
「今後さらに伸びる可能性があるジャンルの1つが、ベンガル料理です。ベンガル料理とは、東インドとバングラデシュにまたがるベンガル地方の料理のこと。そう聞くととっつきにくいかもしれませんが、実はごはんと合うカレーで、カレーにじゃがいもが入っていたり、魚を多用したりと、日本人の気質にけっこう合っているんです。日本で初めてインドカレーを提供したと言われる新宿中村屋のカレーも、ルーツはベンガル料理です」(渡辺氏)
ベンガル料理といえば、2019年にタブラ奏者のユザーン監修のもと、ベンガル料理のレシピ本『ベンガル料理はおいしい』(石濱匡雄 著)が上梓された。ベンガル料理専門店も年々増えていて、東京ではプージャー、アジアカレーハウス、ベンガルカレーファクトリー、トルカリなどが代表店に挙げられる。
日本人オーナーの店にも注目
「もう1つは、カレーのジャンルとは少し違うかもしれませんが、日本人オーナーシェフによるインド料理店です。近年はそうした日本人による日本人向けの専門店の勢いが、非常に目を引きます。出店した多くの人が成功している印象です。
以前はそういうお店は東京中心で、地方では少し浮きがちでした。ところが最近は地方でも支持されているようで、今後もさらに数が増えていくのではないでしょうか。私の料理教室でも、カレー店を開きたいという生徒さんがとても多いです」(渡辺氏)
ディープな現地カレーを味わいたいなら、ぜひインドやインド周辺国出身の人が故郷の味で勝負する専門店へ。それだとハードルが高いという場合は、日本人の視点からインドやインド周辺国の料理を突き詰める日本人オーナーシェフのお店へ。当代ならではの刺激を求めるなら、スパイスカレーのお店へ。もちろん欧風カレーや日本的なカレーを食べられるお店もたくさんある。
日本にカレーが伝えられた19世紀半ば。その時代のカレーはイギリス式で、庶民にはなかなか手の出せないハイカラな食べ物だったという。それから約150年を経た令和の時代。次々と新しいカレージャンルが登場し、“まだ知らないカレー”と出会うワクワクを手軽に味わえる時代を、素直に喜びたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら