駒場にひっそり建つ「日本民藝館」の建物探訪 360度カメラで貴重な建物の内部を撮影した

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柳はまず、この地に栃木県の日光街道沿いにあった長屋門を移築し、その背後に自ら設計した居室を建て、自宅とした(現在の日本民藝館西館)。家が竣工したのが1935(昭和10)年9月。翌1936年の10月に日本民藝館が開館している。

最初にこの地に移築された長屋門は、外壁と屋根に大谷石が多用されていることが何よりの特徴で、それに向かい合う日本民藝館は漆喰と大谷石から成る蔵のような外観。まず、この長屋門ありきで、日本民藝館の外観を想定したように思える。

大谷石は耐火性と防湿性が高く、収蔵・展示施設にも向いている。柳は大谷石を「最も日本的なる石」「木に近い石」と捉えていたという。加工も容易な大谷石で、思いのままのデザインを実現し、この日本的な外観の建物を作った。建物の設計は柳自身が行い、工事は濱田庄司のお抱えの棟梁が担当した。

大谷石は、フランク・ロイド・ライトが帝国ホテル旧本館(ライト館・1923年築)建設の際に多用したことで、以降国内でも流行したが、それとはまた違った個性の大谷石建築が、この日本民藝館だと言える。

本館内部は…

本館建物の中に入ると、目の前に左右に広がる大階段があり、まるで西洋建築のよう。

本館建物の中(編集部撮影)

館内には玄関で靴を脱いであがり、スリッパ履きで歩きながら展示を見るシステムで、一見して和風建築の館内に洋風の空間が展開しているのが意外に感じられる。

館内の木製の展示ケースは柳によって考案されたもので、木造の展示室と美しく調和し、展示品である民藝品を際立たせている。

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