昭和系「硬めプリン」再び人気を集めている理由

プリンに特化した日本初の「ガイド本」も

実は2018年頃から、昭和スタイルの喫茶店の流行が再来している。京都や名古屋などの昭和の店が長く残る町以外でも、昭和風の構えの店が目立つ。書籍も出ているし、『東京人』は2019年6月号で「純喫茶宣言!」と題した特集を組んでいる。

昭和のものがはやるのは、平成時代が終わり、平成や昭和・平成を振り返るテレビ番組やネットメディア、雑誌、書籍などが相次いだ影響があると考えられる。20世紀が終わったばかりの2000年代初頭にも昭和ブームがあった。時代の区切りとともに、昭和が発見されるのだ。

「柔らかい食感」に飽きてきた?

若者はリアルタイムを知らないし、大人世代にとってはノスタルジーの対象になる。遠ざかった分だけ美化されている側面もある。そんな「今よりきっとよかった」と思って浸れる具体的な装置が、喫茶店であり、昭和風の硬めのプリンなのだ。店によっては、昭和の百貨店食堂で出されていたような、銀の器に丸い形のプリンをのせ、缶詰チェリーをのせるところもある。

硬いプリンは、トレンドの変化を映しているとも言える。なめらかプリンの「パステル」が名古屋から恵比寿に出店し、東京人たちに衝撃を与えたのは、1993年。それ以来、なめらかプリンを出す店やなめらかプリン専門店が増えていき、コンビニやスーパーのプリンまで、柔らかいプリンが主流になった。中にはほとんど液体のようなプリンすらある。

とくに近年、柔らかい食べものの人気は高まっていた。現在2度目のブームの渦中にある高級食パンも、「くちどけのよさ」が売りである。流行の高級かき氷も、口の中でさっと溶ける。豚肉などもくちどけのよさが売りになる。

しかし肉でいえば、牛肉のトレンドは、しゃぶしゃぶやすき焼きで人気の霜降り牛より、赤身肉のステーキなど、肉を食べた実感を得られる硬めの料理が好まれるようになってきている。

離乳食や病人食をイメージさせると言って、くちどけのよい食べものを避ける人たちもいる。柔らかさが席巻した平成が終わり、令和の今は食べた実感を得やすい硬めの食べものが人気になり始めているのだ。スプーンを入れたときにしっかりした手応えがあり、昭和の記憶を思い起こさせる硬めのプリンもその1つ。そういう食感の食べものが流行するのは、そろそろ人々がくちどけのよさに飽きてきたからではないだろうか。

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