プロゴルファーにオフシーズンはなし 体ならしでツアーに出ても、よい成績は残せない

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ゴルフをイメージするとき、ドライバーショットを思い浮かべる人より、パットやパッティンググリーンを頭に描く人のほうがゴルフがうまい、そんなことを聞いた記憶があるけど、それは確かと思いますね。

ドライバーが普段より余計に飛んでも、気分はいいけどスコアがよくなるわけではなく、アイアンショットがピンに寄っても、ラインが下りのスライスだったりするとパットが簡単に入るわけじゃありません。

結局、ゴルフのまとめはパットなわけです。

そう思える人は、ドライバーをむきになって飛ばそうと思わなくなるし、アイアンも無理やりピンそばに、と思わなくなる。するとドライバーにもアイアンにも余計なプレッシャーがかからなく、ゴルフ全体が自然とよくなるんですね。

でもね、今は「なるほど」とそう思っても、コースに行ってティーグラウンドに立つと、そんなことはすぐに忘れ、ドライバーを振り回したくなる。それは自分も同じでしてね、試合で若い選手と回り、30ヤードも40ヤードも先に行かれると、1ヤードでもその近くに持っていきたいと体に力みを感じるのがわかるんですね。

でも、だからゴルフは、いつも新鮮で面白いんでしょうね。

今回、パッティングにこだわっているのは、新年早々にトレーニングのためハワイに行って、プレーも何度かしましたけどね、ソニーオープンの開催されたコース、ワイアラエでプレーをしたとき、アウトは38ながら、インは31が出たんですよ。いいスコアはうれしいもんで、やっぱりゴルフはパットと再確認。

具体的にどこがよかったかというと、昔そうだったようにターフが取れているんですよ。パッティングでターフが取れるって表現はおかしいかもしれないけど、以前はパットの調子がいいとグリーンが少し削れるのが普通だったんですね。

自分はヘッドが上から下へのダウンブローのパッティング、ヘッドが最下点に行く前にボールに当たるわけで、まあ、言ってみればアプローチの要領でパットをしてるんですね。このアプローチとか、パッティング、細かい動作ほど手首の柔らかさや足腰の強さが必要なんです。

足腰の強さや体の柔らかさに、日頃の鍛錬の賜物ですが。

ソニーオープンで日本選手を見ていると、日本はまだシーズンオフ。体ならしのつもりでハワイに来ても、いい成績を残せるはずがありません。ゴルフにシーズンオフはありません。シーズンを通して世界各国で試合があり、いつ、どこへ行っても試合ができる体づくりをしていないと、トッププレーヤーへの道は遠くになるばかりです。

ツアープロは、心も体もシーズンオフを作ってはいけないと思うのです。

青木 功 プロゴルファー

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あおき いさお

1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。

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