自転車操業がベンチャーにとって悪くない理由

「激戦」に生き残る関西の有力3社に学ぶ

ベンチャー企業が生き残る秘訣を探った(写真:NHK大阪放送局)
起業して5年後に残る会社は約4割(製造業の場合 2006年中小企業庁調べ)――。日本のベンチャー企業が存続していくには相当な困難が伴う。革新的なアイデアや技術をもとにして、既存にないサービスや事業に挑戦することが重要だ。
NHK大阪放送局が制作する「ルソンの壺」は、12月22日(日)の最新放送回(関西地域で7時45分~8時25分放送)でこれまでに取材した約500社の中からベンチャー企業のその後を追跡取材。そこから生き残っただけでなく拡大を続ける3社の経営者を招き、その秘訣を探った。登場したのは、NSWの西出喜代彦社長、マイファームの西辻一真社長、akippaの金谷元気社長。小説家で番組コメンテーターの真山仁氏、司会の渡邊佐和子アナウンサーと、3人の経営者とのやり取りを、本編に収まりきらなかった部分も含めてお届けする。

ピクルス製造から「裏表のない肌着」へ

渡邊 佐和子(以下、渡邊):まずご登場いただくのはNSW(本社・大阪府泉佐野市)の西出喜代彦社長です。NSWは2012年に起業した会社です。もともとは、西出さんのお父さんがワイヤーロープを製造する会社を経営していましたが、経営不振に陥りました。

その後を継ぐため大阪に戻った西出さんが製造したのは、なんと、ピクルスでした。これが健康志向を意識した女性を中心に話題となり、ヒット商品に。さらに今年、西出社長は、泉州の地場産業の繊維産業にも目をつけ、地域の協力を得て特殊な縫製技術で「裏表のない肌着」を開発しました。

NSWの西出喜代彦社長(写真:NHK大阪放送局)

西出 喜代彦(以下、西出):縫い目がフラットで、裏も表も気にせず着られる肌着なんです。

渡邊:売れ行きはどうですか?

西出:立ち上げたばかりなのでまだまだですが、当初想定していた5倍ぐらい売れています。

真山 仁(以下、真山):ピクルスやドレッシングを製造していた会社が、どうして下着を作ることに?

西出:私が子どもをお風呂に入れようと肌着を脱がせていた際、妻から「脱いだら、表に戻してほしい! 洗濯した後、表に返すのが手間だから」と怒られたことがありました。そこで、裏も表もなく着られる肌着を思いついたのです。目の不自由な人や介護の現場などでも需要があると考えました。商品化するには縫い目を平らにする必要があり、赤ちゃんの肌着の製造で使われる、4本の糸が使える特殊なミシンを使用しています。

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