「すごい人」と知り合いたがる輩に欠けた視点 知り合うだけではまったく何も変わらない

拡大
縮小

「すごい人」と知り合いだということを鼻にかけても、自分の力はまったく変わりません。周囲からはすぐ見透かされます。「すごい人」にコバンザメのようにくっついていけば、自分にとってはメリットがあるかもしれません。では、相手にとってのあなたの価値は何ですか?

私自身、評価してもらえること自体はありがたいのです。しかし、「圧倒的にすごい伊藤さんと、大したことのない自分」という関係をつくられるのは勘弁してほしいのです。

仕事で大切なのは「フラット」であること

また、何かを一方的に教えてあげるという関係にもなりたくありません。フラットではないからです。仮に私よりはるかに若い、経験が少ない人が相手であっても、私はフラットな関係で、意見交換をしたい。「私はこう考えるけど、では、あなたはどう考えますか?」と聞き、相手から学びたいのです。

『やりたいことなんて、なくていい。将来の不安と焦りがなくなるキャリア講義』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

ただ与えるだけでなく、お互いに経験や知見をギブし合うフラットな関係を結びたいと思っています。

人とのコミュニケーションについて、常に心掛けていることは、「常にフラットであれ」ということです。相手によって、相手の置かれている状況によって、態度を変えない。いつでも誰に対してでもリスペクトを持って接する。

仕事でも、仕事以外の場でも、どんどん人に会って、自分の世界を広げていくことはもちろん大切です。けれど、もっと大事なのは、出会った先です。目の前にいる人に敬意を持って、フラットに接すること。自分が役立てることはないか、相手に貢献できることはないか、相手から学べることはないかを謙虚に考え、行動することが大切なのです。

深い人間関係をつくれる相手の数は限られています。しかし、たとえゆるいつながりであっても、フラットに接している限りは、味方になってくれる人は増えていきます。

いつでも誰とでもフラットにコミュニケーションをとれる人は、いざというときにみんなに助けてもらえる。これが、20代、30代と苦しみながら、人に助けられてなんとか仕事をしてこられた私の実感です。

伊藤 羊一 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いとう よういち / Yoichi Ito

アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行う。代表作「1分で話せ」は60万部のベストセラーに。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT