「短い言葉」で印象に残る人になる具体的な方法 コピーライターが説く最強のパワーフレーズ
政治家としてうまく活用していたのが小泉純一郎元首相です。「私が自民党をぶっこわします」はインパクトがありました。ほかには「構造改革なくして成長なし」など。明らかに意図して活用していたと思います。そのほかで有名なのはバラク・オバマ元大統領の「Yes, we can.」。あっけないほど短いフレーズです。
また、ヤクルト元監督の野村克也氏は、メディアで引用されるフレーズ作りに戦略的に取り組んでいた希有なアスリートでした。現役時代、600号本塁打を達成したときのことです。当たり前の談話では巨人の長嶋茂雄や王貞治選手に勝てず、翌日のスポーツ紙の見出しにならないとして、1カ月も前から考え抜いたコメントが次のフレーズです。
王や長嶋がヒマワリなら、俺はひっそりと日本海に咲く月見草。
広告予算が少ないため、プレスリリースに頼るしかない中小零細企業も事情は同じです。愛知県の樹研工業は、極小のギヤを射出成形するプレスリリースが無視されたことに奮起し、ギヤにネーミングをするという奇策を思いつきます。
「パウダーギヤ」(粉のように極小のネジ)とネーミングして打たれたプレスリリースは、専門誌/紙はもちろん、一般紙や果てはテレビ番組でも紹介され、同社の知名度を全国区にまで押し上げました。
個人の話がマスメディアに取り上げられることはないとしても、相手の記憶に残る短いフレーズを意識して話すことはとても有効です。シンプルにするとフレーズは短くなります。短い一文は強くなります。
誰もが知っている言葉を使う
最近、類語辞典が売れているそうです。SNSでやり取りする若者が、より自身の心境に合う言葉を求めて調べるのです。語彙は、多ければ多いほど話し方も自由になると思われるかもしれません。しかし、ほとんどの人が知らない言葉を使っても伝わりません。
つまり、多くの人に刺さるフレーズを放ちたいなら、誰もが知っている平易な言葉だけを押さえておけばいいのです。重要なのは、ぴったりで平易な言葉を見つけることです。さらに、新語・流行語は日々、生まれてきますので、これらはチェックしておきたいところです。とはいえ、国民の過半が知らない新語・流行語は、これも意味がありません。説明しなければわかってもらえない単語は、使わないほうがいいのです。
「広告の文章は12歳の子どもにわかるように書け」といわれます。私もキャッチコピーに難しい言葉を使ったことはありません。もし、未知の言葉を使うとするなら、「知らないこと」であえてフックを作ろうとする戦略です。問題は、少し違う言葉をどうやって探すか。そう悩んだなら、それは語彙力ではなく、強いキーワードが足りないのです。
このように短く印象的に伝えられるというコミュニケーション・スキルは、将来、AIの存在感が大きい時代になったとしても、変わらずに尊重されるはずです。本稿で紹介したノウハウを生かしてパワーフレーズを磨き上げ、ぜひあなたのビジネスや人生を成功に導いていってほしいと願っています。
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