「シニアの就活」成功した人が切り替えた視点 若い頃の意識のまま転職活動をする人が多い

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【苦戦した方の事例】
■Dさん(55歳)
大手電機メーカー勤務。製品の品質管理や製品試験などを行っていた。
退職理由:会社の早期退職制度を利用。
・品質管理や製品試験のなかでも、特にニッチな部分の経験に特化していたうえ、勤務地にこだわっていた。
・勤務地を広げたところ、単身赴任というかたちで電子部品メーカーに内定。

■Eさん(53歳)
大手IT企業の管理職クラスで、事業統括のトップ。開発・プリセールス・営業統括など幅広く経験していた。
退職理由:周囲の同年代の人たちがよりよい会社に転職したため。
・現在の会社では幅広くさまざまな部署で経験を積んだことにより、社内の関係者や各部の状況を把握でき、頼られる存在となっているが、他社から見れば1職種あたりの経験は少なく、何かのスペシャリストとは言えなかった。
・本人はさまざまな業務に携わるポジションを望んでいたが、1つの業務に専念する求人が多く、希望とマッチしなかったため断念。
■Fさん(56歳)
国内大手半導体メーカーにて回路設計後、大手コンテンツ企業にて映像圧縮技術に関するデジタル回路設計業務に従事していた。
退職理由:業績悪化に伴う会社都合退職。
・当初は従業員100人以上の企業を希望し、前職同等規模の企業に応募していたが、なかなか面接まで進まず苦戦。
・キャリアアドバイザーと相談のうえ、培ったスキルを生かし、即戦力人材を期待する中堅・中小企業へ活動方針を転換。
・従業員25名程度の映像・画像処理技術に強みを持つ放送用機器メーカーに内定。

何をして仕事を終えたいのか

多くの場合、「今までの経験、スキルが生かせるポジション」で、「人柄が会社と合うか、柔軟性がありそうか」「成長、吸収の意欲が高いか」などの観点で会社側が合うと判断した人が、内定に至っているようだ。

パーソルによると、年収は前職と比較してやや低くなっている人が多いようだが、転職を成功させている人は、「スキルアップできる」「新しい挑戦ができる」という前向きな理由で受け入れることができている。

「子育てや住宅ローンを抱えた若い頃の意識のまま、転職活動をしている方が多い気がします。子育てや住宅ローンを終えていれば地方へ移ることもできる。都心より広い家に住めて、場所によっては求人の多い地域もある。

生活の再構築を行う場合は、この先どのくらいのリズムで働くべきなのか、『できること』『したいこと』『必要とされていること』を考え、最終的に『何をして仕事を終えたいのか』をしっかり考えたうえで転職活動を進めたほうがいいでしょう」(パーソルキャリア大浦さん)

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