「不倫夫の自殺」で1000万円請求された妻の告白 事故物件化した賃貸にのしかかった賠償義務

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1000万円の内訳は、

1、特殊清掃費、原状回復費として80万円
2、次の入居者が決まるまでの家賃2年分340万円
3、次の入居者の減額分の家賃(半額)4年分340万円
4、大家への慰謝料240万円

というものだった。

不動産会社からは、合計1000万円を一括で早急に払うように言われた。

「私も弁護士を立てることにしました」

自殺は不動産の契約違反になる?

ぺるみさんも夫が亡くなって初めて知ったのだが「夫が自殺する」というのは、不動産の契約違反になるのだ。

賃貸物件で自殺するというのは「原状回復義務」「善管注意義務」「用法遵守義務」に違反することになる。

「善管注意義務」とはつまり一緒に住んでいる家族に対しては「自殺させないようにする義務」があるということだ。

病気や事故などで亡くなった場合は本人には違反しようとする気はないが、自殺の場合は「違反する明確な意思」があるため裁判をしたら必ず負けると言われた。

「言葉の意味はわかりますけど、素直に納得はできませんでした。

『夫が長年にわたり不倫をしたため、離婚しようとしたら自殺した』

という事態に、私に非があるとは思えませんでした」

不動産会社は直接実家に現れた。賃貸の連帯保証人であるぺるみさんの父親に

「1000万円を払え」

と直接言ってきた。両親は、

「迷惑かけたんだから、払わなければならないんじゃないの? わざわざ足を運んでもらったんだし。なんだったら私たちの家を処分して……」

とほだされかけていた。

しかし、ぺるみさんは1000万円を素直に払う気にはなれなかった。

まずは1の特殊清掃費だが、夫は死後すぐに見つかっており、自殺による部屋の汚れはなかったため、特別な清掃をする必要はなかった。ぺるみさんの知人の特殊清掃と遺品整理の仕事をしている男性に依頼して、もろもろ20万円で清掃、処理をしてもらった。

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