創造的!「空き家」巡る奇想天外ビジネスの実態 ゴミ屋敷や廃墟から限界集落の戸建てまで

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しかも、地方も含め、日本全国の急傾斜地や、市街化区域にある未接道の農地、山中の原野、分家住宅など一般の不動産会社ではまず断られるだろう、難易度が高いケースが多いのが特徴だ。普通には売れない不動産をなんとかしてくれる会社というわけだが、そうした物件に取り組む理由の1つは「信頼の貯金」と田中氏は話す。

「重荷になっていた不動産を売却できて喜んでいただけるのはもちろん、面倒な取引を成功させたことで信頼いただき、ほかの相談をよく受けます。これが意外に大きいのです」

群馬の崖地と都内マンションを同じ人が所有しているケースなどもあり、手間がかかっても全体の収支はとんとん以上になることも。もちろん、スタッフと2人という小さな会社であることもポイントで、大手だったらまず、こんなに手間がかかる仕事は受けない。

田中氏でも「売れない」物件の特徴

そんな田中氏でも売れない、売れにくいのが崖地を含む別荘地と農地。前者は分譲時以降管理費が下がっていないなどで割高になりがちで、そのくせ、管理がされておらず、価格が見合わないのが理由だ。

「雑木林を買った人にどう使うかを聞いたところ、ツリーハウスを作りたいと。消費者の発想のほうが不動産会社の先を行っていますね」と田中氏(筆者撮影)

一方、農地は1円別荘の10倍以上も問い合わせはあり、欲しい人はいるものの、農地法の制限で農家以外には売れないためである。それ以外にも売りにくい不動産は、同社の事例を見れば見当がつく。こうした土地を持つオーナーは、まずいと思ったら早めに行動したほうがいいかもしれない。 

相続した空き家を残したい、空き家利用でビジネスを始めたり、街を変えたいなど、活用を考えている人であれば、鎌倉市にあるエンジョイワークスが展開するまちづくり参加型クラウドファンディング「ハロー!リノベーション」が役に立つ。

手放したくはないものの、自分では使いきれない空き家を掲載し、使い方や使い手を探したり、自分で活用する際に不足する資金をクラウドファンディングで集めたり、いずれ事業を起こすときのための事前準備として空き家再生を1から学ぶなど多様な使い方ができる。

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