創造的!「空き家」巡る奇想天外ビジネスの実態

ゴミ屋敷や廃墟から限界集落の戸建てまで

売るにせよ、買うにせよ、自分で書類を取得するなど、従来の不動産会社に依頼するよりはわずかながらも確実に手間は増える。だが、それができればこれまで動かなかった不動産が売れるようになり、安くて面白い物件が買えるかもしれないというわけだ。

同じく売り手、買い手が直接取引する仕組みで、100均(100円、100万円のいずれか)という価格設定で話題になったのが空き家ゲートウェイ。築30年以上の空き家を自社でリノベーションし、オーナーから一定期間安く借りて、高くサブリースすることで改修費を回収する「カリアゲ」という仕組みで不動産業界に一石を投じたカリアゲJAPANと、住まいや暮らし、働き方を再考するメディアを運用するYADOKARIが2019年7月にオープンさせた。

「当初は都内、横浜で、現在は沖縄、秋田、宮城など日本全国15拠点でカリアゲを展開しており、空き家オーナーへのリーチはできるようになったものの使いたい人に届かない。そこで直接ユーザーにアプローチできるYADOKARIと組み、新しいメディアをスタートさせました」と、カリアゲJAPANを運営するあきやカンパニー代表の福井信行氏は話す。

100円か100万円にした理由

100円または100万円にしたのは、直接査定に行く手間が取れないため。100円均一だと敬遠する人もいるだろうと2種類にした。スタートからわずか4カ月ほどだが、現在の掲載物件はすべて決まっており、宮城県の限界集落の戸建てには60組もの希望者が殺到。空き家バンクと一味違うポップな表現や、価格に若い層が反応した。

福井氏は「不動産、空き家のエンタメ化」と称するが、安ければ空き家を買って好きに手を入れるなどして楽しみたい層は確実にいるのである。

「最新の統計で想像より空き家が増えていないことが判明、様子見している人が多いように感じますが、そんなにのんびりしている時間はないはず」と福井氏(左)、カリアゲJAPANを運営するあきやカンパニーの久保暁育社長(筆者撮影)

一方で、月に数件はタダでもいいからと売却希望者からの掲載依頼があるほか、消費者にリーチできるのが魅力だとして地方自治体の空き家バンクとの提携話も進む。マッチングがうまくできるサイトを利用すれば空き家は売れるし、買えるわけだが、それはあと10年くらいのことだろう、と福井氏は考えている。

「現在、70歳前後の団塊世代が10年後、80歳前後になる頃に向けて空き家が増加していくと考えると、空き家の放置は事態の悪化にしかつながらない。貸せる、売れるうちにアクションを起こすのが賢明でしょう」

温泉付き1円別荘を売る会社としてテレビに登場し、有名になったのが横浜市にある不動産会社リライトの田中裕治氏だ。不動産会社2社を経て2013年に独立した田中氏の本業は買い取り再販。本業で成功しており、週休2~3日でもやっていける状況のため、人助けと思って始めたのが空き家などの売却で、同社のホームページには150件近い相談事例が並ぶ。

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