新人を潰す上司は叱り方の本質をわかってない ほめるためには日ごろから観察が不可欠だ

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指導者にも自分の仕事があるのだから当然だが、そこで島村氏は、「指導する時間を最小限にして、新人を最速で一人前に育てるにはどうしたらいいのか」について考えてきたのだという。

そして10年にわたって試行錯誤を繰り返してきた結果、本書で明らかにしているメソッドにたどり着いたわけだ。

ところで新人育成をする際に難しいのが、「叱り方」と「ほめ方」だ。このことについて、島村氏はどのように考えているのだろうか?

叱られるのが苦手な新人には「叱ります宣言」を

誰でも、叱られるのは嫌なもの。しかし同じように、叱ることもやはりつらいものである。叱られる側の気持ちがわかるだけに、叱るほうも憂鬱になってしまうのだ。

とはいえ人間は、他者から叱られずに成長することはできない。つまり新人の成長を願うのであれば、叱ることはどうやっても避けられないのである。したがって、指導者には意識しておくべきことがあると島村氏は言う。

叱られた経験の少ない新人は、叱られると「できないやつというレッテルが貼られてしまった」とか「○○さんに嫌われてしまったに違いない」と早計に受け止めてしまいがちです。だからこそ「叱る」には意味があるということを最初に新人に伝えておくべきです。(164ページより)

普段から新人と良好な関係を築こうと努力している指導者は、すでに新人との間に信頼関係を構築できている場合が多い。そのため、いざ叱るとなると、その信頼関係がかえって足かせになることも考えられる。

信頼している指導者から叱られた新人が、「あんなに信頼している方から叱られてしまった……」と必要以上に重く受け止めてしまう危険性があるということだ。

そうした事態を防ぐためには、「私は叱るときは叱るから」と初めから新人に伝えておくことが重要。「叱ります宣言」をするべきだということだ。

ちなみに「叱ります宣言」をするタイミングは、その新人と初めて関わる状況がベスト。例えば新人が入社時研修を終え、部門配属されたタイミングなどだ。1対1で話す環境で、自己紹介が終わった後、今後の仕事内容とあわせて指導の方針をすり合わせるなか、次のように伝えるべきだという。

私はあなたが成長していく上で、言わなければいけないことはしっかりと伝えるタイプなんだよね。もし叱られてもあまり凹みすぎないようにね」(165ページより)

また、入社後しばらく経った新人へのスタンスを変更した場合や、「いままでは叱らなかったけれど、これからはもっと叱ろう」と思ったときなどには、それを「方針」として打ち出すことが有効だそうだ。

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