新人を潰す上司は叱り方の本質をわかってない ほめるためには日ごろから観察が不可欠だ
つまりはこのように、質問を通じて「どこに原因があるか」を見極める。そのうえで指導し、ときに「叱る」ことが、よりスピーディーな新人の成長につながるという考え方である。
「周囲への影響度」を伝える
「結局なにを伝えたいの?」
「できるんだったら、最初からしっかりやりなよ」
「気のゆるみがあったよね」
「集計作業が遅いよ」
「力が入りすぎているよ」
例えば新人を叱るとき、このような伝え方をすることがあるのではないだろうか。しかし島村氏によれば、こうしたフレーズは効果的ではないようだ。なぜなら、言っていることは間違っていなかったとしても、新人は「わかってはいるけど……」としか感じず、真剣に受け止めてくれないこともありうるから。指導者の苦言も、ただの空回りで終わってしまうということだ。
大切なのは、同じ内容を伝えるのであっても、そこに適切なフレーズをつけ加えること。上記のことばを例に考えてみよう。
「結局なにを伝えたいの? そもそも参加者全員に届くメッセージなのかな?」
「できるんだったら、最初からしっかりやりなよ。まわりがどれくらい期待しているか知ってるの?」
「気のゆるみがあったよね。迷惑をかけてしまった人もいるのでは?」
「集計作業が遅いよ。実はみんなが待っていることに気づいてる?」
「力が入りすぎているよ。まわりの人は気軽にアドバイスできないんじゃないかな?」
これらの共通点は、周囲への影響度を悟らせ、「まじめに取り組まないとまずいかも」と思わせていること。指導者が指摘するまで、周りに迷惑をかけているとは想像もしていなかったという新人は少なくない。そこで周囲への影響を伝え、腹落ちさせるべきだということ。そうすれば、正しい行動への1歩を速めることができるというわけである。
ほめるときには「評価」を挟まず「事実」を
もちろん、ただ叱ればいいというわけではない。新人をできるだけ早く一人前にするためには、叱るのと同じくらい、ほめることも大切なのである。
だが実際のところ、面と向かってほめるのは気恥ずかしくもあり、指導者としてもやりにくい。そのせいで、ほめることが億劫になる場合もあるだろう。また、なにも意識しないまま「ただなんとなく」ほめるのでは、効果もあまり期待できないことになる。
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