新百貨店モデルの成功なるか--オープン近づく大丸・心斎橋北館の秘策
「新百貨店モデルの成否はいかに--」。百貨店業界関係者が注目する大丸の心斎橋北館の11月14日(土)の開店まで、いよいよ1カ月を切った。
心斎橋北館の店舗面積は約4万平方メートル。隣接する本館、南館とあわせた3館の店舗面積は約7万7500平方メートルで、関西では最大規模の店舗となる。心斎橋店の店舗コンセプトは「エキサイティティングな都心型ハイブリッドSC(ショッピングセンター)だ。従来の中高年層を主体とした店作りはより進化させながら、20代、30代の顧客にもアピールするのが狙いで、高い価値を維持しつつも価格のこなれた専門店をどん欲に取り込む方針だ。
なにせ、ここまでが異例づくめの展開だった。J.フロントリテイリングは今年2月末、電撃的にそごう心斎橋店を379億円で譲り受けると発表。そごう心斎橋店は8月末で閉店。9月に引き渡し、11月から隣接する大丸心斎橋店の北館として開店へ。まるで、木下藤吉朗(のちの豊臣秀吉)の墨俣城築城のような離れ業だ。
「本来は11月1日に開店したかったが、搬入作業の関係で14日に設定した」(山本良一・J.フロントリテイリング社長)という発言からも、同社がいかにスピード感を重視しているかがわかる。しかも、本館、南館と一体運営するため、大丸の人員は現状の860人体制のままだ(このほか、取引先のアパレル店など約2000人が従事)。
「心斎橋エリアの約60%が大企業に勤務する30代の社員。にもかかわらず、顧客情報を分析してみると、大丸心斎橋店の30代前後の顧客は全体の17%程度にとどまっていた」(本多洋治・大丸心斎橋店長)。
そのため、北館では、旧そごう心斎橋店の食品売り場を廃止(本館に食品売り場があるため)。代わりに地下1階、2階を婦人服や雑貨中心のヤングファッション売り場に変革し、2フロアでブランド数27、計3800平方メートルの、百貨店では有数の規模のヤング向け売り場がお目見えする。
また、10階にはスポーツ大型専門店を導入、フロア全体にスポーツワールドを展開し、女性のゴルフ需要増などに対応する。