「日経式60歳からの資産取り崩し法」の問題点

「老後のお金」の「正しい使い方と増やし方」

高齢になるということは、今後にお金を稼ぐ可能性が乏しくなることを意味するが、同時に今後の生活費などの必要支出が縮小し見通しやすくなるのでもあって、取ってもいい運用リスクの大きさは必ずしも縮小するとは限らない。そして、もちろん、相続人にとっては、相続財産の額が大きい方がより豊かなのである。

高齢になっても「普通の運用」と資産管理を続けるべき

信頼できる子供などのサポートを受けながら、高齢になっても「普通の運用」と資産の管理を続けていくことが好ましい。運用は、第一義的に本人や家族のためにやるのであって、社会のためや、まして金融ビジネスのためにやるべきものではないが、資産を持っている人が高齢化してどんどんリスク資産を現金化し、さらに相続財産が現金で分配された後に投資に回りにくいことは、「貯蓄から投資へ」の逆転現象を引き起こす要因だ。

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ちなみに、世代別の人口が多いことで知られる「団塊の世代」は2025年に全て75歳を超える。彼らが、リスク資産への投資をどんどん現金化していくと、金融ビジネスにはかなり残念な事態を招くのではないか。

「日経式・資産取り崩し法」の考案者も、記事を掲載した日本経済新聞社も、「貯蓄から投資へ」の熱心な支持者ではないかと思われるのだが、「75歳で運用中止」を提唱するとは、どうしたことか。ここでも、何らかの「想像力の問題」があるようだ。

高齢者も後期になると、体力と共に判断力も衰える可能性があるし、認知症に罹患するリスクも高まる。本人の判断力がしっかりしているうちに、「信頼できるサポート者」を確保して、「普通の運用」(内外株式のインデックスファンドを適切なリスクの額だけ持って、残りは個人向け国債等でいい)を続けて、資産と時間を有効利用するための手を打っておくことが重要だ。

現行の商品、制度で相当程度可能だが、成年後見制度の改善や金融商品・サービスの開発などを期待したい(本編はここで終了です。次ページでは競馬好きの筆者が週末のレースを予想します。あらかじめご了承下さい)。

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