東証の「市場区分変更」、見えぬ議論の終着点

1部上場企業の「降格案」はなぜ消えたのか

東証の上場区分変更の検討作業が続いている。写真はソフトバンクが2018年12月に東証1部に上場したときの風景(撮影:尾形文繁)

あの騒動はいったい何だったのか――。

東京証券取引所の上場区分の変更を検討している、金融庁の金融審議会市場構造専門グループの5回目会合が11月20日に開催された。

関係者からのヒアリングは4回目までの会合で終了している。事務局である金融庁は年内の提言提出を予定しており、審議会のいつものパターンであれば、20日に提言のたたき台に近いものが提示されてもおかしくなかった。

ところが、この日に事務局側から提示されたのは、議論すべきポイントが列挙された論点整理次元のものだった。

250億円で東証1部から降格

市場区分見直し議論の発端となったのは、東証に「市場構造の在り方等に関する懇談会」が2018年10月29日に設置されたことだった。日本取引所グループの清田瞭CEOが定例会見で公表し、近年その役割があいまいになっていた4市場(東証1、2部、ジャスダック、マザーズ)の役割を議論し直すという触れ込みだった。

しかし、東証が懇談会について詳細な情報を開示をしないまま、「東証1部2000社の半分もしくは3分の2が強制的に降格」「(東証1部から降格する)足切りラインは250億円の案も」「早ければ2019年5月に東証規則改正」といった報道が相次ぎ、上場会社だけでなく、TOPIX(東証株価指数)をベンチマークに投資をしている投資家にも動揺が走った。

現在のTOPIXは東証1部の全銘柄を対象にしており、対象銘柄が突如入れ替わると、投資家は多額の損失を被る可能性がある。

3月27日に東証が公表した論点整理では、降格イメージをやわらげるためか、上下関係にあった各市場の位置づけを並列に扱い、時価総額での足切りの可能性についても大幅にトーンダウンさせた。しかし、足切りラインと報じられた「250億円」という金額は1人歩きを続けたままで、投資家の疑心暗鬼は消えていない。

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