「老後2000万円」問題のあまりに残念なすれ違い 金融庁の報告書を読んで再考してほしい
金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」(6月3日)がここしばらく、話題になっています。7日にも麻生太郎財務大臣が「表現が不適切だった」などとコメントしましたが、その姿勢などをめぐって批判が高まりました。さらには10日の参議院決算委員会でも安倍晋三首相が釈明、反論をしたことなどで、一部では「炎上」が起きています。
金融庁の報告書に対する批判として、「2000万円を自助努力で準備しろというのか!」「年金保険料を払わせるだけ払わせておいて、もらえないのは詐欺だ!」といった声がSNSなどにあふれている状態なのですが、政治家の発言を除いて、年金の話を考えてみると、こうした声のほとんどは「的外れな批判」ではないでしょうか。
さらに言えば、一般の人がこういうコメントを出すならまだしも、評論家や有識者といわれる人たちの一部ですら不安をあおるような発言をしていることは、とても残念です。
金融庁はとくに目新しいことは言っていない
今回の騒動のきっかけになったのは全国紙などの記事ですが、その後に続くネットニュース、テレビのワイドショーでも同じような“不安あおり”のトーンが繰り返されています。こうした報道を見ていて私が感じるのは、おそらく多くの人は実際に発表された金融庁の報告書を読んでいないのではないかということです。
実際にどんなことが書いてあるのかを見てみましょう。以下は、その報告書の21ページにある「2.基本的な視点及び考え方」からの抜粋です。
これらは今までも一般的にいわれてきたことであり、とくに目新しいことは何も言っていません。
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