ゼスプリのキウイ「バカ売れ」支える意外な戦略 キウイフルーツがCM攻勢をかけられる理由

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実際、ニュージーランドのゼスプリインターナショナル社をトップとして、各国では現地法人が販売戦略を立てている。日本ではゼスプリインターナショナルジャパン社が、独占的にゼスプリブランドのキウイの輸入から販売までの流通に加えマーケティングを担当している構造だ。

この点がほかのフルーツの流通・販売とは大きく異なっている。「フルーツの流通では一般的に、卸業者や輸入代理店が多くあるために価格競争で値崩れしやすい」(東京農業大学の佐藤和憲教授)。また、同じフルーツでも生産者によって数多くのブランドが乱立している。

ただ、ニュージーランド産のキウイフルーツに関しては、ブランドも輸入・販売業者もゼスプリ1社だけ。ほかのフルーツに比べて、まとまったマーケティング費用を、集中的に投下できるわけだ。そのため、「マーケティングにかけている予算は、ほかのフルーツ会社の中でも段違いに多い」と、日本法人の安斉一朗社長は説明する。

その1つが、冒頭のテレビCMやSNSを使ったマーケティングだ。長らく女性タレントを起用していたCMなどの広告も、2016年にキウイブラザーズに変更している。「タレントのインパクトが強すぎた。見た目はじゃがいもみたいだが、カットすれば実はチャーミングなキウイそのものを主役にしたかった」(安斉社長)。

日本の契約農家がゼスプリのキウイを生産

一方で、生鮮食品ならではの悩みもある。収穫は年1回だけ。ほかの果物に比べてキウイは比較的長期保存が効く果物とはいえ、ニュージーランドで4月頃に収穫されたキウイは、温度管理を徹底しても8カ月間しか品質を保つことができない。

そのため、12月から3月頃にかけてはキウイが払底する状況に見舞われることになる。そこで、ゼスプリ社は異例の戦略をとる。南半球にあるニュージーランドと、北半球にある日本では季節が逆であることを生かし、2003年からは日本の契約農家でゼスプリブランドのキウイを生産してもらい、冬場にも販売しているのだ。

つまり、4月〜12月頃までがニュージーランド産で1月〜3月頃が国産と、日本のスーパーの店頭に1年中商品を安定して供給できる仕組みを作っている。この点が季節もののりんごやみかんと決定的に異なる点だ。

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