ゼスプリのキウイ「バカ売れ」支える意外な戦略 キウイフルーツがCM攻勢をかけられる理由
「キウイ食って、アゲリシャス~」――。
大ヒット曲「恋のマイアヒ」の替え歌に合わせて「キウイブラザーズ」が踊り狂う、ニュージーランド産のキウイフルーツブランド、「ゼスプリ」のテレビCMが話題となっている。耳に残るキャッチフレーズと相まって、キウイブラザーズは今や、日本でもっとも有名な兄弟の一組と言える。
ブラザーズの大活躍も手伝い、ゼスプリのキウイフルーツの販売が好調だ。ゼスプリが2018年度に国内で販売したキウイ販売金額は384億円と、この10年間で1.6倍に。今やキウイ輸入額の97%を占めている。りんごやみかん、バナナなどを中心にフルーツ市場自体は低迷を続ける中で、その伸びは際立っている。
珍しいフルーツの大量広告
原動力になっているのは積極的な広告・販促活動だ。冒頭のように、キウイブラザーズを全面に押し出したテレビCMやSNS、さらには店頭のフルーツ売り場での露出を増やし、認知度を引き上げている。
加工食品や飲料メーカーでは当たり前のマーケティング施策だが、実はフルーツがこういった大量の広告・販促をするのはかなり珍しい。そこには生鮮食品が抱える構造的な問題があるからだ。
そもそもゼスプリとは、ニュージーランドのゼスプリインターナショナル社が販売するキウイフルーツのブランド。同社はキウイフルーツを輸出するに当たって、価格競争を避けるため、1980年代後半に輸出を一括して行う販売公社として発足、2000年に民営化されて現在に至る。同社の2018年度の業績は売上高約2000億円、営業利益200億円程度で、世界50カ国以上で事業を展開している。
ゼスプリ社の株主は、すべてニュージーランドのキウイフルーツ農家で構成されている。その数およそ2500。そのため”キウイ生産者の協同組合”という面が強い一方で、キウイフルーツの輸出のすべてを担っていることから、ニュージーランド国外でのキウイフルーツの販売を統括するマーケティング会社という側面も持っている。
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