ゼスプリのキウイ「バカ売れ」支える意外な戦略 キウイフルーツがCM攻勢をかけられる理由

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キウイフルーツの輸出専業のゼスプリ社が、なぜ日本の農家と契約してまで、年間の安定供給にこだわるのか。

1つは、安定供給はスーパーなどの小売店にとってメリットが大きいからだ。「通年で棚を埋められるため加工食品のように商品管理がしやすいうえ、旬がないことで逆に通年で売れる商材にできている」(佐藤教授)。スーパー側のメリットが大きいため、販路の確保がしやすい。

もう1つは消費者の商品イメージを高く保つためだ。「果物に対してヨーロッパは酸っぱさを求めるが、日本では果物の褒め言葉が『甘いね』になっているなど甘さを求めている。ゼスプリ以外の酸っぱいキウイフルーツを食べて嫌な思いをした消費者は、なかなか戻ってこない」(安斉社長)。

転機となったサンゴールドのヒット

ゼスプリは、日本の消費者が求める甘いキウイフルーツを提供するため、糖度基準をクリアしたものだけを流通させている。1年中、こうしたキウイフルーツを提供することで消費者をつなぎ止める狙いがある。

サンゴールド種は特有の病気に強い。収穫量も多く、高価格で販売できるゼスプリの旗艦商品だ(写真:ゼスプリインターナショナル)

こうした販売面での努力に加えて、実は商品面でも劇的な進化を遂げている。2012年に開発された「ゼスプリ・サンゴールド」だ。従来の果肉が緑色で酸味が強かったものに比べて、果肉が黄色で、「甘く、すっきりとしたトロピカルな酸味がある」(安斉社長)という特徴がある。

このサンゴールドが酸味を苦手にしていた消費者を取り込んだ。「マーケティングの力もあったが、1番はサンゴールドがヒットしたこと」(安斉社長)。

ゼスプリが夢見るのはバナナ、りんご、みかんなど、フルーツメジャーの仲間入りをすること。キウイブラザーズの挑戦はまだまだ続きそうだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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