「睡眠の質が高い人」は日中これだけ歩いている アメリカの学術誌が研究結果を発表

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1日単位で見ても、この相関は保たれていた。通常よりも多く歩いた日は夜の眠りの質がよかったのだ(睡眠の長さについては、はっきりした影響はほとんど見つからなかった。なぜなら59人の大半はもともと、夜8時間くらい眠っていた人たちだったからだ)。

今回の結果からは、歩く量が多ければ多いほどよい眠りが得られると「言って差し支えないと思う」と、研究チームの1人で、ブランダイス大学大学院で心理学を学ぶアリシア・サリバン・ビソンは言う。

数日間歩く距離が増えるだけでも効果

アリシア・サリバン・ビソンに言わせれば、睡眠の質を上げるのにそれほど多くの活動量は必要ない。59人の歩数は平均して1日7000歩。距離にして5キロ弱といったところだった。歩く範囲の拡大と睡眠の質の向上には相関が見られたが、もともとあまり動かない人でも数日間、歩く距離が少し増えただけで睡眠の改善につながったという。

もちろん、今回の研究で確認された「歩くことと眠りの相関」は、あくまでも相関が見られたというにすぎない。この種の観察に基づく研究では、「歩く量が増えたせいで眠りが改善された」という風に因果関係を証明することはできない。

また期間が短く、睡眠の状態に関しては本人の主観的な報告に頼っていた今回の研究からは、歩くことがいかに生理学的に体や心に影響を与え、睡眠の改善につながったのかを判断することはそもそも不可能だ。

だがたとえそうであっても、今夜も明日も未来にわたってよりよい眠りを欲する人々は「日常の生活にもっと活動を取り入れて」いこうと思うかもしれないとアリシア・サリバン・ビソンは言う。

(執筆:Gretchen Reynolds記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2019 New York Times News Service

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