日本企業が米国企業に絶対勝てない最大理由

トヨタを超えたい企業はサードドアを開け

つまり、情報はすべて一カ所のハブに集められ、それぞれのスポークの先端は、自分の情報以外は持っていない。ハブであるGAFAに集められた情報がどう加工されているかもわからない。80年代にアメリカの宅配機能を学んだことで、現在のこういう仕組みを読み取ることもできるのです。

ほかにもアメリカの郵便局で実際に仕事を手伝ってみたり、いろんなことをしました。当時は、その見聞を基に、かなり大きな会議でレポートを提出し、今後の方針をどう立てるかというような重要な議論に役立てたこともありました。

ところが、やはり年齢を重ねていくと、自分で手を挙げて体験するということができなくなり、ラクなほうへ逃げてしまいます。「やりたい」と思うけれど、それをやるだけのパワーがでない。円熟するということは、進化能力を失い、退廃するということと重なってきます。

組織も同じで、ここに差ができます。例えば自動車メーカーで言えば、トヨタ、日産、ホンダ、どれも同じ経済条件、同じ社会環境の中にあって、なぜこの3社には差ができたのか?

それは組織能力の差です。製品開発力、工程管理能力、工程改善力、素材の開発力、ほかにも必要な能力はたくさんあります。トヨタの生産方式は、ご存じのように「トヨタ方式」として公開されています。しかし、それにもかかわらず、トヨタに勝る「トヨタ方式」を作った会社はない。トヨタがトヨタ方式を生み出せたのは、その方式を生むだけの組織能力があったからです。

いい会社には、個人が創意工夫を発揮する余地があって、隙間があります。すべてが決まっている会社というのは、進化の余地がなくてダメなんですよ。人間も組織も、伸びる余白がなければ成長できません。

失敗の繰り返しが完成品を作る

僕がいま調査しているある鉄工所は、長い歴史があり、現在は建設中の高層ビルの上によく見るようなクレーンを製造しています。台風にも負けないという安全性が追究されたものですが、もともとこの鉄工所は、本州と四国に架ける橋を作るときに、その土台や鉄骨を運ぶことのできるクレーンをどう作ればよいかを試行錯誤して開発した会社です。

その開発秘話を実際にひもといてゆくと、これがまさに失敗の連続なんですよ。話を聞けば、「試しにやってみて大失敗」という内容ばかりです。

営業は苦情ばかり聞かされて、怒鳴られる。それに従って製造部門が直してみる。しかしまた使い勝手が悪いだのなんだのとほうぼうから言われる。そうした現場の声やデータを入念に集め、分析と修正を重ねて、完成品へと近づいてゆく。この一連の失敗の連続こそが、いい製品を作るための不可欠なプロセスだったということがわかるのです。

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