マンション市場は値下げ継続で底打ちでも、本格回復は11年以降か《特集・不動産/建設》

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 土壇場で救われた--。9月28日の午後に開かれた3回目の債権者会議の結論は「支援継続」だった。これでマンション業界準大手、コスモスイニシアの事業再生ADR手続きは認められ、債務免除益410億円の計上で債務超過は解消された。同社は2005年にリクルートグループからユニゾンキャピタルのファンドが資金を出すMBO方式で独立した。昨年のマンション供給戸数は2080戸(不動産経済研究所調べ)で業界8位。マンション販売の不振から前期決算では販売用不動産の簿価切り下げを含め、532億円の事業再生損失を計上して債務超過に陥り、事業再生ADR手続きに進んだが、ポイントは金融機関の支援取り付けだった。

そこで大和ハウス工業と優先株出資、事業提携で合意したほか、「晴海テラス」や「ザ・晴海レジデンス」など、手持ちの在庫処分を加速した。「収益寄与は薄いが、年明け以降、売れる値段で一気に販売をしたため、売れ行きは予想以上に順調だ」(広報IR担当者)と言う。問題は今後の新規分譲計画だが、「金融支援体制ができたとはいえ、これからは立地を厳選するとともに、従来の分譲戸数を量産する仕組みは改める」(同)と言う。

今年の首都圏供給は17年ぶりの4万戸割れ

コスモスイニシアは瀬戸際で生き残ったが、依然、マンション業界は厳しい事業環境にある。

「今、分譲よりもマンションの買い取り再販事業に力を入れている」と言うのは首都圏でマンション分譲を手掛ける中堅デベロッパー、アンビシャスの安倍徹夫社長だ。取引先の銀行融資が短期資金中心のため、資金回収が速い事業で息をつないでいる格好だ。

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