「おまけ付きお菓子」の意外にも長く奥深い歴史 蘊蓄100章で綴る菓子メーカーの工夫と奮闘

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61. 1971年12月カルビー製菓は「仮面ライダースナック」を発売し、「仮面ライダーカード」をおまけとした

62. カルビーは番組スポンサーも務めたがこれは創業者松尾孝と同郷・同窓だった東映・岡田茂の勧めだった

63. スナックの定価は20円。1袋に1枚のカードがおまけとして付いたが、スナック袋とカードは別々だった

64. スナック50袋入りの段ボールに54~55枚のカードが同梱され、客は購入時に店員からカードを手渡しされる

65. 当時、子どもたちの間ではスターやヒーロー、アニメキャラなどの「ブロマイド」が流行していた

子どもにとって最新の情報源でもあった

66. その流行に便乗したライダーカード案はカルビー関係者の友人で経済学者・栗本慎一郎の提案だったという

仮面ライダー1号。写真はマカオにて開催された「仮面ライダー大集結特展」(写真:Imaginechina/時事通信フォト)

67. カードの表面にはライダーや怪人等の写真、裏面には通しナンバーと写真に関する解説文が記されていた

68. この解説文は番組プロデューサーの阿部征司が執筆しており、子どもたちの最新情報源になっていた

69. カルビーはカード制作にあたり石森プロの版権スチール撮影を手がけていたグループ・ナインと独自契約

70. 『仮面ライダー』は毎週土曜放送だったが、本編の撮影現場に写真スタッフを派遣してカード用に同時撮影

71. そのためテレビ放送直後の情報が即座にカード化されスナックに添付された

72. このおまけのライダーカードは全546枚だが、同番号であっても細部が異なるカードが52種存在する

73. 異種カードの差異はさまざまで、まったく画面が異なる、トリミング違い、解説が異なるものなどがあった

74. これは再版による発行時期の差や、各印刷所の作業の違いから生じたものといわれている

75. また「ラッキーカード」と呼ばれるレアカードがあり、これをカルビーに送付すると専用アルバムがもらえた

76. ラッキーカードの裏面は通常版と異なり、〈ラッキーカード〉の文字、カードの解説、カード送付の有効期限

77. 加えて、ラッキーカードの送付先としてカルビーの宇都宮工場と広島工場の住所が記載されていた

78. しかし応募するとカードが手元に残らず、のちにカルビーはカードに〈S〉の赤スタンプを押して返送した

79. 人気の一方でカードだけを集めてスナックを捨ててしまう「ライダースナック投棄事件」も全国で相次いだ

80. カルビーはスナック袋に〈お菓子は残さず食べよう〉という一文を印刷し、小売店にも販売対策をとった

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