「バチェラー」ブームの理由を真剣に考えてみた SNSであふれるハッシュタグ「友永構文」とは

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カクテルパーティーなど非日常感満載のイベントも番組の見どころ(写真:Amazon)(C)2019 Warner Bros. International Television Production Limited. All rights reserved.

初代バチェラー久保裕丈さん、2代目小柳津林太郎さんと遜色なくイケメンで勝ち組です。大きな違いは友永さんの語り口調と言葉選びに集約されるキャラクターです。各エピソードに差し込まれるインタビューカットなどにもそれが垣間見られ、最終話の「本当の結末」にはすべてが詰まっています。批判さえも超えてしまったキャラクター性の強さがありました。

そもそも世界の恋愛リアリティーショーの多くは一般人が出演し、予測不可能なリアリティーある言動が視聴者を翻弄させ、夢中にさせています。日本の場合、一般人を番組に起用するケースが少ないこともあり、プロフェッショナルな芸能人には見られない振る舞いに新鮮な違和感を覚えた視聴者も多いでしょう。そんな番組の狙いに見事に友永さんのキャラクターがマッチしたというわけです。

世界でも評価されている

反響の大きさを予想していたのでしょうか。番組最終話が配信される直前にAmazonスタジオが世界の番組制作関係者に向けて、『バチェラー・ジャパン』の成功を早くも語る場面もありました。

フランス・カンヌで開催された業界イベントMIPCOMにAmazonスタジオのインターナショナル・オリジナル番組責任者のジェームズ・ファレル氏が登壇し、バチェラーの友永さんを紹介しながら、「全世界225カ国以上で放送実績がある『The Bachelor』は日本版も作られ、女性を中心に人気を集めています。私も個人的に好きな番組の1つです」と、世界の数多くあるAmazonオリジナル番組の中で推していました。

仏カンヌのMIPCOMでAmazonスタジオのインターナショナル・オリジナル番組責任者のジェームズ・ファレル氏が登壇し、『バチェラー・ジャパン』をイチオシ(筆者撮影)

またファレル氏は「ビンジ・ウォッチング(一気見視聴)を狙った全話一挙配信の手法をあえて取らずに、段階を追って配信したことも成功の理由の1つにある」と語っていました。それはつまり、配信日にSNS上で話題を集中させることが効果的であると考えているからです。第2次的創造である「#友永構文」は最終話の炎上があったからこそ派生したものです。

さらに「リピート」視聴や新規の視聴につなげていけば、大きなプラスへと変わっていきます。こうした過程を踏まえながら、今どきのヒットの作り方が詰まった事例としてみるのもオススメします。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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