また、言葉遣いもですます調の丁寧なフレーズにしています。そもそも『ことりっぷ』は、小鳥が必要なことだけをそっと教えてくれる、みたいなコンセプトなのです。決して押しつけるのではなく、あくまでユーザーが主役、という演出です。
――詰め込まないとなると、逆にものすごい量の情報をそぎ落としているということですよね。
『まっぷるマガジン』と比べると、情報量は大体4分の1くらいに絞っています。どういうところを削っているかというと、たとえば、駅や空港までの行き方など。今は知りたいと思えばスマホですぐに探せますしね。
私が入社した当時、「旅行ガイドは教科書でなければならない」と、よく先輩社員に言われました。特に海外旅行のガイドなら、両替の仕方や、トイレの使い方まで、本当に丁寧に書かれていました。ただ、今はもう、その部分はネットに任せてしまっていいと思っています。
全国各地の「ことりーな」から相次ぐコラボオファー
――ほかの企業や自治体とのコラボ事例がたくさん出ていると聞いています。
はい。ありがたいことに、全国各地に『ことりっぷ』を何冊もそろえてくださっているファンの方、通称「ことりーな」がいます。民間企業や自治体にもそういう女性がいらっしゃって、「うちの地域にも女子を呼びたい。コラボできませんか?」と、話を持ってきてくださるのです。
「横須賀」「城崎温泉」など自治体のオファーにより、出版したものもあります。
――そういった場合、先方の自治体と編集部の役割分担はどうなるのでしょうか。
協賛金と、ある程度のその土地の観光情報は自治体からいただきますが、基本は取材、編集とも『ことりっぷ』編集部がすべて行います。先方は、「うちの地域のどこだったら女子に来てもらえるのだろう」と、悩んでいらっしゃることが多いので、こちらの観点を新鮮に感じてもらえたりしています。
ほかにも、エースコックさんと共同でご当地料理を参考にした『ことりっぷスープ』を作ったり、オリンパスさんのカメラ「PEN」購入者へのプレゼントである冊子『ことりっぷ カメラさんぽ』を作ったりと、企業とのコラボ事例もあります。
これもやはり、先方の企業にいる「ことりーな」が、「一緒になにかできないか」とラブコールをくださるケースがほとんどです。彼女たちも、これまでの売り方と何かを変えたい、変えなければ埋もれてしまう、という強い思いがあるのでしょう。
――今後の『ことりっぷ』の野望はなんでしょうか。
旅行は、女性にとって元気の源になっていると思います。知らない場所を訪れるのはリフレッシュになりますし、プランニングするだけでも、脳トレになりそうです。
加えて自治体も、女性がたくさん来ると元気になります。その間をつなげる役割を、『ことりっぷ』が担っていきたい。どこの自治体も少しでも女性に認知してもらえるように、独自の取り組みをたくさんやっているのですが、まだまだ届いていないように感じます。
女性が年間で美容院に行く平均回数は、徐々に減っているそうですが、旅行に行く回数は、直近でも減っていません。これをさらに、「今年はもう1回、旅行に行きたいな」と思うきっかけとなるような旅行ガイドを作って、“ことりっぷ経済効果”を出していきたいです。
(撮影:梅谷秀司)
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