「水の不要な消毒液」がアフリカに見つけた金脈 「手を清潔に」を説くサラヤの“きれいごと“
真山:サラヤとしても、地元採用の人に「自分たちの国をより安全にしてくれる会社だ」と理解し、周りに話してもらうことにも意義がありますね。どうやってそのような優秀な人材を得ていますか?
更家:公募した中から採用しました。現地採用は30人ぐらいになっています。最初の頃は「手を洗うということを、“サラヤする”と言わせたい」と現地法人の初代社長が言っていました。
渡邊:もう動詞になっちゃうわけですね。
更家:何かモチベーションが上がりますよね。
真山:実際に広がりましたか?
更家:普及しつつあると思います。
輸出ではなく現地生産も成功の原因
真山:日本で作った消毒液を輸出するのではなく、現地で作っていることも成功の原因に見えます。
更家:最初はやっていたんですが、コストが高くて。それでどうするか試行錯誤しました。着目したのは、ウガンダで栽培が盛んなサトウキビです。
サトウキビを搾ってジュースを作り、煮詰めていくと砂糖の結晶ができるんです。残ったドロドロの黒い液にも糖分が残っていて、発酵させるとアルコールができます。これを精製してエタノールを抽出し、そこから消毒液を作ることに成功しました。サトウキビは砂糖や酒に精製する過程で、大量の廃棄物が出ることが問題になっていました。現地では捨てるしかなかったこの廃棄物を、再利用する方法も見出しました。
現地に“カキラシュガー”という砂糖メーカーがあり、この会社は環境意識が高くて、バイオエネルギーも既に作っていたので、2014年から提携するようになり、価格も現実的になってきたので、普及が進んでいったと考えています。
真山:廃棄物を再利用するという着目点が優れていますが、タイミングも良かったのですね。ウガンダ以外の他のアフリカの国々への進出は考えていますか?
更家:将来、人口が3億を超えるナイジェリアへはいつかは進出したいと思っています。
真山:ナイジェリアやケニア、南アフリカもそうですけど、それなりの経済規模を持つ国だと、すでに消毒液を使っている、ライバルのいる国も出てきます。具体的に進出していく地図や、すごろくのようなステップは考えていますか?
更家:その場しのぎだと言われるかもしれませんが、それぞれの国の実情を見ながらその都度可能性を考えています。アフリカでも東西南北で、まったく異なりますので。