そうした状況を踏まえ、学生の就職人気ランキングについても、早い段階から調査・発表することを考え、3年生の夏休み終了時点での「速報版・就職人気ランキング」を作成した。
データは文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の調査を基にしており、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録する、2021年春卒業予定の大学生や大学院生が調査対象者で、今回は登録会員のうち、5756人から回答を得た。
参考までに2020年卒生の就職人気ランキングについても掲載した。2020年卒前半は2018年10月から3月末まで、後半は2019年4月~6月末までが投票期間となっている。ただし、調査の時期だけでなく、従来実施している仕事イメージを重視したポイント調整は行っておらず、条件が異なっていることをあらかじめご了解いただきたい。
普段の生活では目にしない優良BtoB企業の名前も
結果の上位を見ていこう。
全体を見ると、エアラインや旅行業界の企業が引き続き強さを見せる一方、総合商社やマスコミ(とくに出版)が上位に来ている。
1位は全日本空輸(ANA)となった。就職人気ランキングでは、ここ数年、トップの座を維持している。2021年卒でもその傾向が続いているといえるだろう。国内線、国際線ともに旅客数首位の座が続いており、充実した研修制度に対する学生の評価も高い。インバウンドの拡大などでエアライン業界の成長は続くと予想され、そうした点も人気を下支えしている。
2位は集英社。これまでのランキングでは、20位以下にランキングされていることが多かったが、今回のランキングでは人気を集めている。
最近は、就活の二極化が進んでおり、早期に活動する意欲の高い学生と、そうでない学生に別れる。意欲の高い学生は、総合商社やマスコミなど、難関大学の学生の入社が多い企業を狙う傾向がある。実際、2018年10月12日の配信記事「入社が難しい有名企業トップ200ランキング」の上位に入った企業の多くが、今回のランキングの上位に顔を出していることがわかる。
具体的には、集英社を筆頭に、4位のKADOKAWAや、5位の丸紅、6位の伊藤忠商事などが該当する。
3位は日本航空(JAL)で、7位にはJTBグループが入った。ANAと同様、エアラインや旅行業界の人気の強さがうかがえる。
一方、この時点では金融は8位日本生命保険、9位大和証券グループがトップ10に入った程度で、影が薄い印象を受ける。メガバンクに至っては、三菱UFJ銀行が28位に入ったのが最高で、みずほフィナンシャルグループに至っては100位以内に入ることができなかった。
トップ10以下の上位を見ると、コンサルティング会社やSI(システムインテグレータ)などが上位にきていることも特徴だろう。また、トヨタ自動車が31位と、これまでのランキングに比べて上位にきているのも見逃せない。
さらに、77位に金属加工機械メーカーの大手、アマダホールディングスといった優れたBtoB企業がランクインしている点も特筆すべき点だろう。就活の序盤ではあるが、企業研究を熱心に進めている就活生が評価して投票をした結果かもしれない。
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