「検索しない」「整理しない」「覚えない」発想法 インプットの労力は最小限、成果は最大限に

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情報を活用する場合、もちろん2次情報も大切ではあるのだが、より重要なのはこうした1次情報だ。それも、自分だけが知ることができた、気づくことができた情報や知見であれば、ますます貴重なことは言うまでもない。

誰もが情報収集に最も活用している、インターネットについて改めて考えてみよう。

ネット検索の情報がアイデアを生まない理由

2次情報を集めるためには、確かにインターネットほど重宝なものはない。しかし、私の場合、インターネットの検索機能を使った情報収集は、短時間で基本的な情報を集める程度にとどめている。理由は2つある。

1つは、繰り返しになるが、それは誰もが集められる情報であるからだ。誰もが集められる情報だけでは、創造的な発想や思考を生むのは難しいものだ。差別化されたアイデアは浮かびにくいということだ。つまり、有効なアウトプットに結び付きにくいということになる。

しかも、その誰でも知っている情報は、誰かが何かの意図をもって流したフェイクニュース、あるいは単純に事実を誤認している情報かもしれないというおまけまでついている。

もう1つは、検索という行為は、最初にキーワードを入れるので、そのキーワード以外に発想が広がりにくいという欠点をもつことだ。その結果、情報収集も型にはまりがちになるし、情報収集の過程で新しい発想が浮かぶ=ひらめくということが少ない。

そのため、与えられた問題についての知識を深める、辞書のように知らない用語の意味を調べる、知っていることをさらに深掘りするにはいい方法なのだが、そこから斬新なアイデアが生まれるということは少ないように思える。

例えば、町おこしに花火大会を行おうと考えて、過去行われた各地の花火大会のコストや集客などを調べることはできるだろう。そうした調べ物を指示されたとすれば、それはインターネットや商用データベースを使って調べればいい。その結果、花火大会の実行計画は練れるかもしれない。

しかし、そうした方法では、花火大会に代わるイベントを考え出すことは決してできない。いくらグーグルや日経テレコン(日経新聞の提供する記事データベース)を検索しても、「これからの町おこしの切り札」は出てこない。だから「何はともあれ、まず検索する」は避けたほうがよいのである。

そうしたアイデアを出すには、自分の足を使っていろいろな人に会って話を聞いたり、あるいは実際に行われているイベントを見聞きしたり、誰かとディスカッションをしたり、さまざまな方法を使って考えることが必要になる。そうした方法は、どれもアナログ的な方法であるのだ。

もちろんインターネット経由の情報収集でも工夫次第では有用な1次情報を得ることはできるし、さらに2次情報を上手に活用することで人をうならせる企画やアイデアを生み出すこともできなくはない。

しかし、こうした方法より自分が直接見聞きした1次情報を活用するほうが、ユニークなアイデアを考えたり、人をうならせるような企画を生み出す可能性が高いのは言うまでもない。

次回記事では、1次情報をどのように入手し、活用していけばよいかについて、解説していきたい。

内田 和成 コンサルタント

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うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表、2009年12月までシニア・アドバイザーを務める。2006年には「世界の有力コンサルタント25人」(アメリカ『コンサルティング・マガジン』)に選出された。2006年より2022年まで早稲田大学教授。著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』(以上、東洋経済新報社)などが多数。

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