わずか1年で来客数2.7倍「白馬岩岳」の再生秘話 岩岳・スキー場「絶景テラス」開業から1年
日本生産性本部がまとめた「レジャー白書」によると、日本のスキー人口は、ピークだった1998年の1800万人に比べて、3分の1の約600万人にまで減っている。白馬村も1990年代初めは年間280万人近くのスキー客が訪れたが、現在は100万人弱にとどまる。
スキー人口が大きく減少する一方で、スキー場の再編は進んでいない。長野県だけで見ると、2018~2019年のスキー場利用者数は約645万人。ピークの1992年度の2119万人に比べ、7割近く減っている。
しかし県内のスキー場は、ピーク時の110カ所から94カ所(2019年に営業しなかったスキー場も含む)とわずかな減少にとどまり、供給過剰を指摘する声もある。
事業者の数も多い。白馬エリアの10カ所のスキー場は、白馬観光開発を含めて14の事業者が運営に関わっている。村の複数の関係者を取材すると、「効率よく運営することが難しい。再編は避けられない」という声が多く上がる。
菅官房長官「スキー場の整備がカギを握る」
スキー場整備に向けて、国も前向きな姿勢を見せ始めた。2019年9月7日号の『週刊東洋経済』の観光特集で、「新・観光立国論」の著者デービッド・アトキンソン氏と対談した菅義偉内閣官房長官は、東京五輪後の観光産業を持続させる方策についてこう話している。
「統合型リゾートやスキー場の整備がカギを握る。これを改善するだけで、年間1000万人は訪日客が増えるとも言われている」
滞在日数が長く、1人当たりの消費額が多いスキーは、地方への誘客につながることも期待できる。
観光庁も「スキー場のゴンドラやリフトが老朽化しているということ、スノーリゾートの重要性は認識している」と説明する。2017年から関係省庁や有識者でつくる検討会を立ち上げ、スノーリゾートの活性化について模索する。
白馬観光開発の和田社長は、理想のリゾート地としてハワイを挙げる。「ハワイは、何日いても飽きないでしょう。何もしない時間も含めて、1週間は滞在できる場所にしたい」。
同社は今、後継者が見つからない旅館の再生や、休業していた土産物店をハム工房にリノベーションするなど、街全体での活性化も進めている。1つの会社、商店、個人では限界があることも、それぞれが得意な分野で分業すれば道は拓ける。通年リゾートに向けた取り組みが始まっている。
長野県では台風19号による豪雨で、千曲川の堤防が決壊し、周辺の地域が大きな被害を受けた。ただ、白馬村では目立った被害は確認されず、観光施設やホテルは通常通りに営業している。富山地方気象台は22日、北アルプスの立山で初冠雪を確認したと発表した。ハクバ マウンテンハーバーも山頂の雪と中腹の紅葉、麓の緑が一度に楽しめる「三段紅葉」のシーズンを迎えている。
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