箱根「カレーパン・足湯」セットが人気のワケ 「スシキング」が仕掛ける非日常リゾート
箱根の芦ノ湖畔で温泉の足湯に浸かりながら焼きたてパンが食べられる「ベーカリー&テーブル箱根」は、1年を通じて客足が途絶えることがない人気店だ。
2013年7月のオープン後、2014年の年間売上高が約2億9500万円だったのが、2017年には約3億7200万円にまで伸びた。また、目玉商品である「米粉のカレーパン」は、休日は整理券が配られ、焼き上がるまで数時間待ちという人気ぶりで、月に5000~8000個が売れているという。
パンがおいしいことや箱根らしく足湯に浸かりながらパンが食べられるというコンセプト、さらに目の前に芦ノ湖が広がる最高の立地などが人気の理由であることは間違いないが、これらのパンやコンセプトは一朝一夕でできたわけではない。本稿では、その誕生秘話を紹介したい。
始まりは赤倉から
ベーカリー&テーブル箱根を運営する会社は「R&Mリゾート」というあまり耳慣れない会社だが、箱根の店舗のほか、新潟県妙高高原の「赤倉観光ホテル」や、伊豆吉奈温泉の「東府や(とうふや)リゾート&スパ-イズ」(以下、東府や)および「ベーカリー&テーブル東府や」などを運営している。
同社代表の石井龍二氏は、アメリカ、カナダ、オーストラリアのスーパーマーケット、スポーツアリーナ、大学キャンパス、ミリタリーベースなどでテイクアウト用の寿司を販売する店舗網を展開する人物だ。2018年3月時点で、石井氏の会社AFC(アドバンスド・フレッシュ・コンセプツ・コーポレーション)は約4000店舗を展開し、アメリカでは「スシキング」とも呼ばれているという。
石井氏が渡米したのは1976年、25歳のときのこと。カリフォルニアの大学を卒業後、公認会計士事務所勤務等を経て、寿司惣菜販売のビジネスを始めた。当時、寿司は高級品で一部の富裕層にしか食べられておらず、これを一般家庭にも広めようと、スーパーマーケットの一角で、握りたての寿司をパック詰めにして販売することを思いついたという。
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