箱根「カレーパン・足湯」セットが人気のワケ 「スシキング」が仕掛ける非日常リゾート

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明治時代には10軒ほどあったという旅館も最近は3軒まで減り、このうち経営が悪化していた東府屋が買い手を探しているという話が金融機関を通じて石井氏のところにきたのだ。石井氏は静岡県の出身ということもあり、赤倉とは違った意味で、日本の古き良き風情を残す旅館を「ぜひとも残したい」と思い、買収に踏み切ったという。その後、隣接する旅館「芳泉荘」も個人経営で維持するのに限界がきていたことから買い取り、両旅館をあわせた新生「東府や」は、平地部分の敷地面積6000坪、周囲の山も含めると3万6000坪という広大な空間に、客室棟、温泉などの建物が点在するリゾートとして2010年11月にオープンした。

勝算はあったのか

ベーカリー&テーブル東府やの足湯。元からあったプールを水盤として活かした(写真:R&Mリゾート)

しかし、昔は街道沿いの旅籠だったとはいえ、現在の国道は1キロほど離れた場所を走っているためアクセスは必ずしもよくなく、また知名度もそれほどない場所であることを考えれば、かなり思い切った投資だったと思えるが、勝算はあったのだろうか。この点について桜井氏は、

「代表の石井が何よりも大切にしているのはその土地が持つ魅力。魅力的な場所によいものをつくれば、必ずお客様は来てくださるという発想です。その意味で、吉奈温泉は広大な敷地に古きよきものを大切にしつつも自分たちの世界観をつくれる場所でした。また、2010年頃は赤倉観光ホテルの改装がうまくいき、当社の社員が、きちんとしたことをやれば必ず再生できるという自信を持ち始めた時期でした」という。

赤倉観光ホテル「アクアテラス」。印象的な水盤とスケールの大きな眺望が話題に(写真:R&Mリゾート)

当時はリーマンショック後で日本全体の景気が悪く、建築業が下火で建築資材が安く調達できるなど経費的なメリットもあったほか、他社が積極投資を控える中、赤倉観光ホテルの改装とともに東府やのオープンが、世間の耳目を集めるのではないかという期待もあった。

ところで、東府やの再生にあたっては、「和テイストのリゾート」として打ち出すというコンセプトを掲げたというが、どのようなことだろうか。

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