箱根「カレーパン・足湯」セットが人気のワケ 「スシキング」が仕掛ける非日常リゾート

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ちなみに、2012年に約8400万円だったベーカリー&テーブル東府やの年間売り上げ(宿泊を除く)は、2014年には約1億2000万円、2017年には約1億5700万円まで伸びている。この成功の要因について桜井氏は、

「日帰りゾーンを設けたことで宿だけでなく、日帰り旅行の特集などメディアに多角的に取り上げていただけるようになったこともPR効果が大きいと思います。また、オープン当初に、車で1時間圏内の三島、沼津など地元の人に向けてチラシを配布するなどしたことから地元のお客様がとても多くリピートしてくださっています。いずれにしても、東府やでの実績は、ベーカリー&テーブルという事業コンセプトで1つの独立店舗としての採算性が十分見込めることを確信させてくれました」と話す。

箱根へ進出

そして、2013年7月にベーカリー&テーブル箱根がオープンする。立地は箱根海賊船の元箱根港の近くで、目の前に芦ノ湖が広がる一等地だ。この土地は、石井氏が東府やの買収以前から、箱根でリゾートホテルを営めないかと考え所有していた土地だという。手狭だったためホテルは現実的に難しいと判断して駐車場として貸していたが、東府やの成功を受けて、満を持してベーカリー&テーブル箱根としてオープンした。

冒頭で述べたとおり、ベーカリー&テーブル箱根は連日大盛況だが、店舗が狭いため、これ以上厨房を拡張できないのが課題だという。箱根に2号店を出店する考えはないのかという問いに対しては、

「パンを売る場所、食事をする場所という以上に、箱根という場所柄、リゾート感を存分に楽しんでいただける場所をご提供したいという思いがあります。そのため、食事と景色は等価と考えており、それに見合う景色の良い場所があれば出店したいですが、今のところ計画はありません」(桜井氏)という。

なお、同社の事業としては、2016年11月にベーカリー&テーブル ラスカ熱海店をオープンしたほか、2019年7月には熱川に全26室で全室露天風呂付きのリゾートホテルをオープン予定だ。また、ベーカリー&テーブルはハワイのホノルルにも出店している。日本発の足湯に浸かりながらパンを食べる文化が世界各地に広がる日が、いずれ来るかもしれない。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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