どんなに運動しても「痩せない」本当の理由 半年間の実験で明らかになったこと
しかし、私たちは消費カロリーの相殺として食べすぎたり活動を減らしたりする傾向があるのか、そしてそれが重要なことなのかは明確になっていない。消費カロリーが相殺されるのを避けるために、自分たちがどうっやって相殺してしまうのかを知る必要がある。
6月にアメリカ臨床栄養学誌(AJCN)に掲載された最新研究では、ルイジアナ州にあるペニントン・バイオメディカル・リサーチセンターなどの研究者らが、活動的でない大勢の被験者に運動をしてもらい、体重と日常習慣の変化を追跡した。
通常通り生活するのと運動する生活の「差」
参加した被験者は18〜65歳の肥満の男女171人で、はじめに彼らの体重、エネルギー代謝率、標準的な空腹度、有酸素運動のレベルを計測。さらにトレーサーを使った複雑な手法によって日常的な食べ物の摂取量とエネルギー消費量も計測した。
また、標準化された心理学のアンケートにより、好ましく健康的な活動はその後の好ましくない活動を正当化すると感じるかどうかを調べた。
研究チームはその後、無作為で選んだ一部の被験者には対照群として通常どおりの生活を続けてもらい、別の集団には指導の下で運動プログラムを始めてもらった。
そのうちの1つのグループは、トレッドミルもしくはエクササイズバイクで週3回運動し、週に体重1キロ当たり8キロカロリー(大半の人は700キロカロリー程度)を消費。別のグループは運動量を増やし、週に体重1キロ当たり20キロカロリー(1760キロカロリー程度)を消費した。
その習慣を半年続ける間、被験者は活動計を身に着け、研究チームは定期的に彼らの代謝率とエネルギーの摂取量、運動量を計測した。被験者は自分の好きなように食べることができた。
実験終了後に被験者の全データを再計測すると、対照群の被験者の数値は予測どおり、体重やエネルギー代謝率も含め変化はなかった。しかし、運動をした2つのグループの大半の被験者も同様に変化がなかった。体重が減った人もわずかにいたが、運動量が少ないグループの約3分の2と、運動量が多いグループの90%は予測よりも体重の減りが少なかった。
彼らは運動で消費したカロリーを相殺していたのだ。